出版社内容情報
漱石の直筆だからと買ったら弔辞で売るのに苦労した話など、出久根節が冴え渡る、古書と古書店の客を巡るとっておきのエッセイ集
内容説明
漱石の直筆だからと買ったら弔辞で売るのに四苦八苦する「漱石を売る」。雪の本を買い求めた少年を亡くし、その跡をたどって店に現れた老夫婦との交流を描く「雪」。主人を追って延々と古本にくっついてやってきた蟻と再会する「東京駅の蟻」など、達意の文章が人間の喜怒哀楽を拾いあげて心に迫るエッセイ、51本の贈り物―。
目次
漱石を売る
いよいよ
十五万冊
キャラメル
雪
猫の目
牛若
南畝
隠し印
人形
芳一
東京駅の蟻〔ほカ〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りこ
10
実は私も古本屋でバイトした事ありますが中々重労働なんだけどね(笑)新刊も大好きだけど人の手から手を経てきた本はまた格別。どんな人の手を辿って来たのか想像するのは楽しいです。2016/02/08
猫丸
7
久しぶりに帰省して思い出した。若い頃置き場に困った本を手当たり次第にゆうパックで送ったのだった。それが老父母の家に大量に堆積している。近い将来、空き家と化すはずゆえ、本の行き場も考えないといけない。とりあえず地域の図書館にいくらか寄贈したが、再読の可能性のあるものは少しずつ手元に回収せねばなるまい。本書は帰りの電車で読むため持ち帰った。いい本である。今回の再読で、落飾、ほまち、という2語を覚えた。あと、吉本ばななを激しくこき下ろしていますねえ。出久根さん。2018/08/28
ふみえ
5
出久根さんの面白さにはまってしまった。直木賞をとった時から、少しは作品を読んでいましたが、昭和の香りがムンムンで、居心地が良い。ノスタルジーかも。2013/02/20
ふう
3
ビブリア古書堂の栞子さんがらみで、ぱらぱらと再読。 出久根達郎。彼の古本話もまた、おもしろい。
謡子
2
初読み作家さん。ところどころしみるようなおもしろさがあったりケンカっぱやさに疑問符がわいたり。古本屋さんて職人枠なんだな。 最後の方の「室内」に掲載されたエッセイはなんだか身につまされる。1900年代からこんなだったのか。自分の常識を疑う時代じゃなかったと思うけど、今では作者自身がじゅうぶん「変わってるひと」なんじゃないだろか。 ところで、町の古書店、最近増えてない? わたしが古本を買うようになったのかもしれないけど。 吉本ばなな(未読)読んでみたくなった^^2022/06/26