内容説明
幕末から明治を駆け抜けた新選組の中には、志を貫いた者もいれば、目先の利に惑わされ変節した者もいた。近藤勇の狙撃者・富山弥兵衛、討幕派との全ての戦いに奮闘した寡黙な巨漢・島田魁、謎の切腹を遂げた最後の新選組隊長・相馬主殿など、新選組隊士の光と影を新しい切り口で描いたアンソロジー。山内昌之氏との対談も収録。
著者等紹介
中村彰彦[ナカムラアキヒコ]
1949年栃木県生まれ。東北大学文学部卒業後、出版社勤務を経て文筆活動に入る。87年、「明治新選組」で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。93年に、「五左衛門坂の敵討」で第1回中山義秀文学賞、94年に「二つの山河」で第111回直木賞、2005年に「落花は枝に還らずとも」で第24回新田次郎文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
22
129新選組に関わった人達の短編物で知っている人初めて知る人のその後の生き方そして終わりを印象的に書いてあります。相馬主税は最後の新選組局長になり遠島になりその後謎の自害を遂げましたがこれは納得の物語に仕上がっていて良かったです。島田魁や市村鉄之助や近藤の馬丁の忠輔が強く感じてた生き残った罪悪感には心打たれました。原田左之助が生きていた話は本当だったらと思っちゃいました。2021/11/14
只三郎
20
近藤や土方等の主要メンバー以外の新撰組隊士を描いた短編集。 舞台は戊辰戦争終盤~明治の世であるが、彼らが辿る様々な人生に感慨深い物を感じた。 亡くなった同僚を思い生きていく者、出世の野望を秘めるが思いを遂げずに亡くなる者等々、様々な人生がここに収録されている。2019/08/11
Falgorou
13
新選組短編集。佐幕派・倒幕派それぞれの視点から書かれていて興味深かった。また主人公もあまり名の知られていない人物も多く、そういった視点からなので新鮮な気持ちで新選組を眺める事ができた。市村鉄之助の「五稜郭の夕日」、島田魁の「巨体倒るとも」、そして相馬主計の「明治新選組」は思わず落涙。特に相馬主計自害の理由はとても自然で、妻を思いながらも武士の矜持を保った姿には感動した。原田左之助の「明治4年黒谷の私闘」では生存説に触れているが、そうであって欲しいと心から思う。改めて私は佐幕派だなと実感(笑)。2015/11/13
ウッチー
12
9編からなる短編集。島田魁を主人公とした「巨体倒るとも」では、葬儀参列者親子を知る由ない、魁の息子達、「五稜郭の夕日」の鉄之介が土方に一緒に死なせて欲しいと嘆願する名場面など、再び感動作を読んだ気がする。 相馬主計主人公の「明治新選組」は、名作❗️2015/09/15
ましゅまろ
12
読み終わったのは6月だったのですが、感想を書きそびれていたので読了日はあやふや。新選組を題材にした短編集です。どちらかといえば新選組が華々しく活躍した時期ではなく、佐幕派にとって情勢が悪くなってきてからのお話しがメインでした。少し物足りない気もしましたが、楽しめました。「巨体倒るるとも」、「五稜郭の夕日」が好きです。2013/07/03