内容説明
江戸時代後期、武田信玄の埋蔵金を求めて、関八州を捜し回る謎の剣豪。その名は、中村一心斎正清。この男、やることなすことすべて型破り。幕政を批判して、水野忠邦ら幕閣を煙に巻き、剣を取っては、若き千葉周作、男谷精一郎、斎藤弥九郎が心服。果ては二宮尊徳、鼠小僧次郎吉、葛飾北斎も巻き込む痛快時代小説の傑作。
著者等紹介
高橋三千綱[タカハシミチツナ]
昭和23(1948)年、大阪生れ。サンフランシスコ州立大学英語学科創作コース、早稲田大学英文科をいずれも中退。49年「退屈しのぎ」(群像新人文学賞)でデビュー、53年「九月の空」で芥川賞を受賞。ゴルフ漫画の原作でも活躍、時代小説にも進出して旺盛な執筆が続いている
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感想・レビュー
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Mc6ρ助
13
「和三郎江戸修行」から遡って。中村一心斎、若年にして伝説の剣聖歩言われ、この本では40歳前後らしいが「・・修行」の白髪のオジンのビジュアルが先行して違和感が拭えない。千葉周作、定吉兄弟、男谷清十郞(&勝小吉)、斉藤弥九郎、はては音なしの剣の高柳高柳又四郎、ちょい役とはいえ桃井春蔵まで出てきて豪華キャラは満足、満足なのだけれど、この一心斎さん強すぎてストーリーに奥行きがなくなっているところが残念ナノでした。2022/04/19
タツ フカガワ
5
千葉周作、男谷精一郎、高柳又四郎、斎藤弥九郎らの剣豪や、葛飾北斎、二宮尊徳、遠山金四郎、鼠小僧次郎吉ら、江戸文政期の有名人の前に現れ、彼らを翻弄するのは中村一心斎という中年浪人。この男の前では何が起こっても不思議ではない破天荒かつ痛快さに、たびたび笑いを漏らしながら読み終えました。なお著者あとがきによれば、中村一心斎は実在の剣客らしい。2019/01/09
creocat
4
★★☆☆☆ 某ブログで知ったので読んだ。面白い。が、それだけ。ひねりも何もない。2016/02/12
ひかつば@呑ん読会堪能中
4
実在の剣士中村一心斎を描いた短編連作。といっても作者のフィクションで、幕末の剣豪である千葉周作、男谷精一郎や遠山金四郎らの若きころの視点で描写される一心斎は、彼らにとっては飄々として得体の知れない浪人で、蔵金を探すという破天荒な行動に巻き込まれる彼らはただ狼狽するのみ。アメリカに2年いたというぶっとんだ設定だが、一心斎が彼らにかける言葉がなんともよく、妙にはまってしまった一冊。2013/01/31
Hirotoshi Imagawa
3
これは隠れた傑作。高橋三千綱というひとは寡作で、あまり目にしないが、優れた娯楽作家だと思う。2015/01/06