内容説明
今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める―。稀代のストーリーテラーが丁寧に紡ぎだした、心揺るがすミステリー。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年生まれ、東京・深川育ち。法律事務所勤務を経て、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。以降、「龍は眠る」で日本推理作家協会賞(92年)、「本所深川ふしぎ草紙」で吉川英治文学新人賞(同年)、「火車」で山本周五郎賞(93年)、「蒲生邸事件」で日本SF大賞(97年)、「理由」で直木賞(99年)、「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞(2001年)、「名もなき毒」で吉川英治文学賞(07年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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抹茶モナカ
528
ハードボイルド小説になるのかな。特段、大きな事件が起きる訳ではないけれど、人間の業について、書いている小説。兄弟にはではないけれど、昔、婚約者を寝取られた事が、僕にもある。僕は黙認したり、辛抱したり出来ず、婚約者を殴ってしまった。でも、そんな婚約者を寝取られるような事って、ミステリー小説の中では、陳腐な出来事で、よくある事なのかな、と思った。婚約というのも危うい制度だ。2013/07/13
とも
494
初めの内は淡々と物語が進められていき、物語を紡ぎなぞるだけの展開。だもんでこの先物語がどう展開していくのかも読めず…ヤキモキしながら中盤まで読み進めるも物語は大きく展開せず…ん?こりゃ外れだったかな?と思い始めたが、そこは流石宮部さん。いつの間にか物語の展開は緩やかに速度を上げ、知らん内に引き込まれてた。 奇異を衒う、驚く様な伏線の回収は無いけど、引かれた伏線は丁寧に回収され、満足のいく1冊でした。 おいおい、梨子。2018/01/08
再び読書
408
素人探偵のパターンよろしく、不器用に真面目に調査を進めていくうちに、事件?が解決?される。「名も無き毒」の前作と言うことで、先にこちらを読んでから読むことにしました。一人の運転手の過去を二人の姉妹からの依頼で、調査し何があったのかを探っていく。特に面白かったという強い印象は無いが、淡々と物語りは進行していくのはやはりうまいと感じます。「車屋」から物語を創作していく課程は、想像できない創作者たる作者の資質を感じます。次作に進みます。この話にも毒が既に見えてきます。2013/09/02
kaizen@名古屋de朝活読書会
358
主人公は社内報の編集者。事故でなくなった運転手。二人の娘が犯人捜しのために本を出すという。途中でなくなった人の過去の犯罪の影がただよう。推理小説としてはできがよい。副題がいくつか。美空ひばりの「車屋さん」の歌が出てくる。「小さなスプーン」という物語が読み聞かせとして出てくる。道具立てが細かい。解説:杉江松恋2013/05/21
どんちん
305
ハードボイルドの定義はいろいろがるが、ハードボイルドサスペンスである(解説)。確かに定義はむずかしいが、まぁそうかなといえばそんな感じだ。ともかく、読後感は、宮部手腕発揮という評価に偽りなしと納得できる。それより杉村はキョン(@涼宮ハルヒ キョンファンごめんなさ!)? 杉村とキャラはかぶらないのであるが、話のトーンや例え方が、”なぜなら””なんとなく”似ているw 話の展開が読めず、ただただ語り手キョン(杉村)の家族には何事もおきない事を祈っていたw それにしてもお金持ちってすごいですね。。。2013/10/09