内容説明
思えば山ばかり見て暮らしてきた。医学生時代の友人に誘われた、海へ行ってみようか。心の病を得て以来、一人で電車に乗るのは十年ぶりである。旧友の海辺の診療所で過ごす五日間の休暇。朝市の老婆に亡き祖母の顔を見、崖下の洞窟でイワシを焼いて少女と語らう。だが、そこにも…。癒し癒されきれぬ人々の心の内を描いた名作。
著者等紹介
南木佳士[ナギケイシ]
昭和26(1951)年、群馬県に生れる。秋田大学医学部卒業。現在、長野県南佐久郡臼田町に住み、佐久総合病院に勤務。地道な創作活動を続けている。56年、難民医療日本チームに加わり、タイ・カンボジア国境に赴く。同地で「破水」の第53回文学界新人賞受賞を知る。平成元年、「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞
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