文春文庫<br> エチオピアからの手紙

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文春文庫
エチオピアからの手紙

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  • サイズ 文庫判/ページ数 315p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167545055
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

文學界新人賞を受賞した「破水」をはじめ、人間の生と死を日常的に受け止めざるを得ない医師の内面を、濃密に描ききった短篇五篇

内容説明

死にゆく患者たちを前に医者として、人としてとるべき誠実な態度とは…。文学界新人賞を受賞した「破水」をはじめ、人間の生と死を日常的に受け止めざるを得ない若き医師たちの苦悩と現実を、濃密に描ききった短篇五篇をおさめた、記念碑的デビュー作品集。著者自身が当時を振り返った、あとがきを新たに収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

213
南木佳士の初期短篇集。出色は巻頭の「破水」。これが彼のデビュー作で、第53回文學界新人賞を受賞。あとがきで、「いまの私にはもう『破水』を書く力はない。そして、以後に発表したどの作品も、芥川賞受賞作の『ダイヤモンドダスト』でさえも、『破水』の新鮮さには及ばない」と自ら述懐する。たしかに、ここにはきわめて鮮烈な、デビュー作だけが持つ、力強い切迫感が感じられる。しかも、医療現場の最前線にいる、この著者にしか書けない主題が確かにここにはある。主人公を妊娠中の女性の医者に設定したことも、小説の仮構には有効だった。2014/05/10

おか

71
芥川賞作品「ダイヤモンドダスト」の前作。『破水』は文学界新人賞 その他の4編は全て芥川賞候補。場所はカンボジア難民キャンプであったり 普通の総合病院 、今で言うホスピスなのだが 彼はそこで多くの死を看取っている。死は医師にとってある意味敗北である、その敗北感を「いつか私も死にます」と思う事で解消し 小説を書くことによって 自分の心と折り合いをつけているようです。どの作品も 心に痛い作品です。でも良作だと思います。2018/07/17

名古屋ケムンパス

38
しみじみとして心に染み入る短編集です。「生と死」に如何に向き合うかは医療の永遠のテーマであり、小説の欠くべからざるテーマでもあります。末期がん患者を診続ける医師としての日常の葛藤を小説の形にして綴る著者の作品は、このテーマを訥々とそして温かみをもって語り掛けてくれます。 理想と現実の間に思い悩みながら患者のいなくなった病室を見つめている医師の姿を思い浮かべて書を閉じました。2017/08/10

piro

29
文學界新人賞受賞作『破水』を始めとした5編からなる短編集。どの作品も常に死が側にあると共に、人の弱さが露骨に生々しく描かれていて心に重いものが残る読後感でした。心折れ、弱々しさを露わにしながらも、何とか前を向いて進んでいく医師の姿。南木さんご自身の経験を基に描かれたであろうこれらの作品からは、命をめぐる様々な葛藤や無力感に苦しむ医師の心情の一端を感じられた様に思います。そして変に綺麗に終わらせない所に、南木さんの真摯さ謙虚さを感じました。2020/03/22

メタボン

29
☆☆☆☆ 「破水」は作家志望の若者らしいくどくどしい部分もあるが、この頃から書きたいテーマにきちんと向き合っているのがわかる。どの作品も末期癌患者の死がテーマであり、医師から見た人間の死という視点が心にずんと響く。「破水」は死にゆく老婆と産みゆく女医が対称的。難民収容所での医療光景がリアルな「重い陽光」。「活火山」では生きてきた浅間山の麓で日常通り静かに死を迎えようとするみどり婆さんを病院に送る若き医師の繊細な心情が良く伝わる。ホスピスの役割を考えさせられる「木の家」。表題作は癌の老医師との交流が印象的。2016/09/12

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