出版社内容情報
虫が大好きな露子姫の許に蘆屋道満から禍々しい虫がやってきた。晴明と博雅は虫退治へと向かうのだが・・・。
「むしめづる姫」他全五篇収録。
内容説明
とある晩、安倍晴明の師・賀茂忠行の息子保憲が訪れ、晴明に厄介な一件を頼み込んだ。それは―。藤原為成が一条六角堂で妙な首に憑かれてしまい、命も危ういので助けてやってくれぬか、というものであった。源博雅とともに為成の屋敷へ向かった晴明は…。「首」の他、都の闇にはびこる悪鬼、怨霊たちと対峙する全五篇収録。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
昭和26(1951)年、神奈川県小田原市生れ。48年、東海大学日本文学科卒業。52年、「奇想天外」誌に「カエルの死」を書いてデビュー。圧倒的な人気を博する「陰陽師」「魔獣狩り」「餓狼伝」の各シリーズをはじめ、山岳、冒険、ミステリー、幻想小説などの分野で広範な読者を魅了し続けている
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感想・レビュー
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starbro
165
陰陽師シリーズ30周年記念完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11399200?sort=book_count&order=desc 今回は、第六巻です。 本巻は、「龍笛ノ巻」というよりも、「蟲ノ巻」でした。オススメは、「首」&「むしめづる姫」です。続いて第七巻「陰陽師 太極ノ巻」へ「ゆくか」「ゆこう」「ゆこう」 https://books.bunshun.jp/sp/onmyoji2019/05/09
HIRO1970
165
⭐️⭐️⭐️⭐️夢枕さんは5冊目。安定した面白さ、様式美が堪りません。多少マンネリ化しても構わないので是非書き続けて頂ければと思います。柱を背に膝を立てほろほろとかわらけをふくむ・・・。口もとにはわずかな微笑。行こうか、行こう。おう、おう。平安の闇と音と香りを感じたい方々には本シリーズがオススメです。野村萬斎さんの映画もまた見てみたいな。2016/08/06
KAZOO
127
順番から行くと「生成り姫」なのでしょうがこれは短篇集ではなく朝日新聞の連載ものなのであとで読むことにしてこの本の短編を楽しみました。蛇や虫が結構出てきたり、また道満、賀茂保憲、あるいはむしめづる姫などが出てきます。保憲も晴明と同じような性格で似た感じですね。「首」は長い方に入るのでしょうが食べても首から下がないので、食べたものが下に落ちていくというのも何かシュールな感じがしました。2017/09/17
えみ
62
陰陽師に持ち込まれる怪異はどれもこれもギョッとするものばかり。解決すれば、まさかと思うその正体。だけど本当にこの世にはあるのかもしれない。常識では測ることの出来ない不思議なことが…。妖物と人との距離が極めて近かった平安時代の都で起こる怪事を解決する安倍晴明と友人・源博雅の二人の活躍を描く五篇収録の短編集。バラエティーに富んだ怪奇現象も然る事ながら、今回もまた安倍晴明と源博雅の微笑ましい遣り取りにほっこり。共に庭を眺めながら蜜虫や蜜夜に酒を注いでもらい、杯を交わし会話に加わっているような近しい感覚になれる。2021/02/23
眠る山猫屋
56
再読。この頃から芦屋道満さんは気まぐれで、ちょっぴり優しいのだなぁ。むしめずる姫も登場、晴明も道満さんも一目置くこのお姫様は理知的でありながら可愛らしい。無常感に満ちていながら過ぎていく闇深き夜は、寂しげで仄かに清々しい。2020/02/12