内容説明
英国首相の兄が誘拐された。兄もまた法務総裁という重職にあるが、犯人の要求は身代金ではなく、総裁が訴追したある殺人事件の真犯人を探し、被告を無罪にすること。すでに裁判は結審、陪審員は評議に入っている。判決がくだされるまでに真犯人を探さなくては!デッドリミットは刻々と迫る。英国リーガルスリラーの旗手登場。
著者等紹介
デイヴィス,ランキン[Davis,Rankin]
実はキース・ランキンとトニー・デイヴィスというニューカッスルのふたりの元法廷弁護士が共同で執筆するときのペンネーム。映画の脚本をふたりで書いたのがきっかけとなり、1996年に『黒い蘭の女』で小説デビュー、英国リーガルスリラー界の旗手として注目されている
白石朗[シライシロウ]
昭和34(1959)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒業。訳書に、スティーヴン・キング『グリーン・マイル』(新潮文庫)、ディーン・クーンツ『戦慄のシャドウファイア』(扶桑社海外文庫)、『心の昏き川』(文春文庫)、ジョン・グリシャム『法律事務所』『パートナー』(新潮文庫)『テスタメント』(新潮社)など多数
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感想・レビュー
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goro@the_booby
48
これは拾い物の一冊。英国首相の兄でもある法務総裁が誘拐されたのだが要求は現在陪審討議に入っている殺人事件の真犯人を評決が出る前に探し出せというものだった。状況証拠は有罪を示しているが、ここから誘拐劇と「十二人の怒れる男」の密室劇、兄を救おうと犯人を探し出す捜査劇が絡み合う。裏に見えるのは環境テロか大企業の陰謀か、有罪に持ち込みたい陪審員と疑問に思う陪審員との対立に引き込まれながら首相は真実にたどり着けるのか時間が迫る中行動を起こす姿や誘拐犯の背景など練りこまれてて巻を措く能わずの一冊でした。2024/09/03
ケロリーヌ@ベルばら同盟
43
七月の美しい夕方、日曜日の公園から、一人の男性が連れ去られた。彼は、ある陰惨な殺人事件の訴追に当たる法務総裁であり、新進気鋭の現英国首相の実兄であった。誘拐犯から要求を突きつけられた首相、裁判の評議にあたる12人の陪審員、誘拐実行犯の三つの視点から重層的に語られる、リーガルサスペンス。読み進むにつれ、事件の概要と、法務総裁誘拐の目的が明らかになり、環境破壊、政治と金の問題等が浮かび上がって行く巧みなストーリー展開に惹き込まれる。大勢の登場人物の書き分けも秀逸で、集中が途切れること無く一気読み。後味も良い。2024/09/15
よっちゃん
1
焦点は陪審員の討議にある。圧倒的クロから始まる。胸にいちもつある胡散臭い人物ばかりがあつまって、この制度の抜け道を行くウラワザ・コワザ、脅迫と懐柔、教唆・扇動の連続展開であるから目が離せません。 さらに、農薬で巨額の利益を上げるコングロマリットと対立する美人医学博士。医学博士を支援する爆弾環境テロリスト、彼らによる法務総裁誘拐、要求は陪審員の評決が出るまでとタイムリミット付きの真相究明。軍・警察とテロリストとの攻防戦、英国首相の真犯人探しの大活躍。まぁとにかく娯楽性たっぷりの大サービスはうれしい。 2003/07/12
産廃屋
1
リーガル・サスペンスとしては判決のひっくり返り方など、ロジカルな部分がやや物足りない。また誘拐犯側に筆を割きすぎ。ストーリーテリングはよい。2011/11/26
ハノ
0
むだに長く感じた。首相側はもうちょっと削ってもよかったのでは。陪審員側の駆け引きは面白かったです。アレックスさん、かっこいいな〜。ただ、有罪派が無罪派へ変わる理由が裁判の中で明らかにされるべき点ばかりだったのが気になった。警察がまぬけみたいだ…。2009/04/11