感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさしぶり
20
『清貧の思想』の中野孝次さんが描く良寛。「正法眼蔵随聞記」「徒然草」等引用しながら彼の半生、歌や詩を読んでいく。身は黒衣をまとう僧体でありながら、寺の住職でもなく、経を読むでもなく、見事な詩を作るけれども漢学者でなく‥‥世外の人。無為の人であった。(生涯身を立つるに懶く 騰々天真に任す 嚢中三升の米 路辺一束の薪 誰か問わん迷悟の跡 何ぞ知らん名利の塵 雨夜草庵の裡 双脚等間に伸ばす)良寛70,貞心尼30の交流に何故か涙誘う。●あづさゆみ春になりなば草の庵をとく出て来ませあひたきものを 2021/03/03
果てなき冒険たまこ
3
良寛自体はそんなに知っているわけでもなくて、子供と遊ぶ暢気な人くらいの認識しかなかったけど、道元の心身脱落をここまで具体的に体現しているとは思わなかった。 「良寛の人となりを一言でいえば、内省の人ということだろう。自分とは何か、自分の生涯とは何なのか、何のために自分は生きているのか。そういう本質的な問いかけを絶えず行い、自分の生き方を監視している」 それに伴う孤独や自己を捨てるやり方が徹底していて恐ろしくなってしまうほど。孤独を愛するなんて安心に立脚したただの戯言なんだな。2024/09/07
さかえさん
1
この猛暑の中、心の中に爽やかな風を感じた名著です。今日一日を生きるに足るそれだけの物しか望まず、潔く完結する生。欠乏、不足としか見えない生が、良寛さまには充足だったのだから、なんと強い人なのか。「欲がなければ一切足り」 心に刻みつけておかねばならない言葉である。 だからあんなに優しい歌が作れるのだなと深い感慨を覚えました。2015/07/25
こめんぶくぶく
1
郷土の人でありながら、その人となりをほとんど知らなかった。 タイトル通り、風のような方。 存在するだけで、きっと周りの人間の気持ちをもすぅっと楽にさせてくれるような。 2014/01/07
Asa
0
現代は便利快適になり、苦しむことを絶対悪のようにみなし、苦しみの原因は排除されるが、その代償として自然が与える喜びを、またそれを感じる心を失った。人生そのものの深さを味わう、ということを忘れてしまったのだ。2015/12/28