出版社内容情報
村上春樹の極私的オリンピック体験
2000年、シドニーの23日間。初めてのダウンアンダー(南半球)、アスリートたちとともに〈走る作家〉は何を見、どう語るか?
担当編集者より
テレビに映らなかったオリンピック——ゴール直後の「一瞬の永遠」、スタジアムを包む巨大なエモーション、アスリートたちの息遣い、集中力、恐怖感……。好奇心に満ちた作家が、地べたから描き尽くした、その時その場でしか得られないドラマの数かず。リアルタイムで書き継がれた、23日間のシドニー日誌がほんとうの感動を伝えます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
221
春樹さま同様、オリンピックにまったく興味がない(これ言うのって勇気がいる)私でも楽しめた観戦・紀行文。春樹さま節に呑み込まれて一気に読了。オーストラリア(シドニー限定)のガイド本としても優秀なのでは。2016/12/10
ムッネニーク
112
82冊目『シドニー! ワラビー熱血篇』(村上春樹 著、2004年7月、文藝春秋) 2000年シドニーオリンピックのルポルタージュ。文庫本全二巻のうち本書はその下巻。 スポーツ雑誌『ナンバー』の企画だが、著者のオリンピックに対するスタンスはかなり批判的なものであり、この下巻では巨大資本を中心に動くオリンピックの問題点をズバズバと書き表している。 〈そして、考えてみれば奇妙なことなのだけれど、僕はそのワラビーの助けを借りて、オリンピックというメタファーを今のところなんとか地べたにつなぎ止めている〉2023/09/25
chantal(シャンタール)
76
後半の内容はより豪州の歴史や五輪に対する考察が多くなる。アボリジニーのフリーマン選手が最終聖火ランナーを務めたことを「まだ何の成績も出していない、豪州人でもない選手が!」(実際には6万年前から住んでるけど)との論調があったらしく、今回の東京でもそんな事言う人いたなあ。著者は規模を半減し毎年ギリシャでやればいいと20年前に既に商業主義を批判していた。鍛錬を重ね、その技を競う選手のための五輪であり、結果について周りがとやかく批判するものじゃないんだよね。全ての競技者に拍手を送り讃え合う、そんな五輪が望ましい。2021/07/29
催涙雨
49
「ドバイの首長が昨日の夕食になにを食べたかと同じくらい、僕の現実生活には関係のないことなのです」シドニーに限らずオリンピックそのものにそれほど関心が持てていない点はわたしも村上春樹とそう変わらないが、こういった発想というか言い回しはさすがに思い付かないよなぁ、と思う。結局、競技やそれに携わる人々の純粋なエピソードよりも、オーストラリアの歴史や現地で触れ合った人々の様子、観光のイメージとそれに伴う村上春樹の気だるげな所感のほうが正直興味深かったし、読んでいて面白かった。東京開催も近いというのに。2020/02/15
ヴェネツィア
47
村上春樹によるシドニーオリンピック観戦記の続編。決勝レースが中心になったせいか、こちらのほうが緊張感は高い。特に、高橋尚子が金メダルを取った女子マラソンの記述など。ただし、頻度は下がったものの、村上ギャグは相変わらず。例えば、こんな具合。―「女子床運動(トコ運動じゃなくてユカ運動)」―。なお、この観戦記は2分冊になっているが、合わせても400ページくらいなので、分冊にする必要はなかった。1冊でも分冊でも、村上を買う人は買う(それならやっぱり、出版社にとっては2分冊の方が得か)。2012/02/25
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