出版社内容情報
大地震.の被害を乗り越えた信太郎。しかし、美濃屋の総領として乗り越えなければならぬ大きな問題を抱えていた。感動のシリーズ完結篇。
内容説明
大地震の被害を受けた信太郎は、呉服太物店「美濃屋」を、総領として必死の努力で復興する。だが、そんな矢先に、亡き父の隠し子・玄太が現れる―。「笛吹き貞」こと磯貝貞五郎と小つなの恋など、お馴染みの登場人物の行く末にも触れながら、困難に立ち向かうことで強まる家族の絆を描く、シリーズ堂々の完結篇。
著者等紹介
杉本章子[スギモトアキコ]
昭和28(1953)年、福岡県に生れる。54年、「男の軌跡」で第4回歴史文学賞佳作入賞。平成元年、『東京新大橋雨中図』で第100回直木賞を受賞。14年、「信太郎人情始末帖」シリーズ第1作「おすず」で第8回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
79
文庫にて再読。嗚呼、やっぱり『完』だったんだ。単行本で読んだ時もまだ続けて欲しいと思ったのだが・・今朝追悼で読了して、本当に叶わないのだなぁ・・と実感してしまった次第。宇江佐さんもそうだが、杉本作家も惜しいです。まだまだ沢山の作品を世に出せただろうに(泣)再読しても、このシリーズは良い結び方だったと思う。商いや信太郎と玄太、小姑・おふじの今後を勝手に想像しながら、ちょっと胸がいっぱいで本を閉じた。沢山の人の心に残る作家だろう。ー合掌ー2015/12/22
ドナルド@灯れ松明の火
18
信太郎シリーズ完結してしまった。良い結末だった。杉本さんの江戸時代考証がしっかりしているためか読んでてスッと作中に溶け込める感じだった。宇江佐さんの後を追うように亡くなってしまい凄く残念である。ご冥福をお祈りします。 お薦め2016/05/25
タツ フカガワ
10
シリーズ7作目は完結編。親戚一同からの反対と嫂の強烈な秋波のなか、磯貝貞五郎が意外な策で芸者小つなと結ばれる表題作がいいですね。それに最後の「兄さん」も。魅力的な登場人物や江戸の風情の描写に酔い、巧みなストーリーに翻弄されたこのシリーズ、全編を貫くのは思いやりという優しさで、だから読後の余韻が温かい。ページターナーのお手本のような7作でした。2019/09/17
めにい
6
展開が気になって全巻続けざまに読んでしまった。激動の時代に入る直前の江戸の庶民たちそれぞれの心映えの美しさ、潔さみたいなものを感じた。現代人の心の奥にも残っているのだろうか?もっともっと大切にしたいものだ。2014/01/14
ひさか
5
オール讀物2006年12月号、2007年3、10月号、2008年1、6月号掲載の5編の連作短編を2008年8月に刊行。2011年2月文庫化。シリーズ7作め。完結。タイトルの1編は貞五郎と小つなの素敵な話で楽しめた。最終話「兄さん」の事件は、はらはらさせられたが、胸のすく解決と信太郎と異母兄弟の玄太の交流が良かった。シリーズ全般に拍手喝采を送ります。2015/07/30