出版社内容情報
悪徳金融業者の被害者たちを救った奇跡の一球。それは1人の天才バッターと、生涯二流に甘んじた投手との、熱い友情の賜物だった。
内容説明
母親の自殺未遂の理由が知りたい―青年の相談に、御手洗潔はそれが悪徳金融業者からの巨額の借金であることを突き止める。裁判に訴えても敗訴は必至。さすがの御手洗も頭を抱えたが、後日、奇跡のような成り行きで借金は消滅。それは一人の天才打者と、生涯二流で終わった投手との熱い絆の賜物だった。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年、広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年に『占星術殺人事件』で衝撃のデビュー。「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や、台湾・皇冠文化出版有限公司が主催する中国語によるミステリー新人賞「島田荘司推理小説賞」の選考委員をつとめるなど、後進の育成にも尽力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
75
先日読んだ東野さんの『魔球』の余韻がまだあって、たまたま、図書館で見つけた野球の表紙に、嬉しくなり手にとりました。 序盤のエピソードが火事騒ぎに関係するのはわかるけど、野球にどう繋がるんだろう。 御手洗さんの言う『奇跡』って? ここまででページ1/4で、ここからはプロ野球選手を目指す一人の少年の手記になります。 二人の少年がお互いを尊敬して育んだ友情。 それに応えるべく野球人生をかけて『最後の一球』を放った投手。 二人の友情に感動しました。 ★5 2018/02/02
Tetchy
48
ミステリとしてその出来映えについてはやはり首を傾げざるを得ない。御手洗が登場するのは全277ページの物語のうち、たった76ページぐらいで、その後はある野球選手の半生と事件に至るまでの経緯が手記の形で語られる。したがって御手洗の推理らしきものはほとんどない。まあ、確かに御手洗は超人型探偵で事件に遭遇しただけで全て見極めてしまうのだが。しかしそんな構成上の不満はあるものの、はっきり云ってオーソドックスな浪花節以外何ものでもないが、やはり島田のストーリーテラーぶりは素晴らしい物がある。2010/08/28
やっちゃん
44
サクサク解決するから短編集かと思いきや残りのページは島田荘司のまさかのスポ根!これが良かった。ありがちな話だったけどいつもの壮大なプロットと比べてとっつきやすかった。プロの厳しさを体感した。昔は浜商強かったよな、御手洗の野球やる姿も見たかったぜ。2023/04/13
みっぴー
39
人生の教訓がみっちり詰まった、島田流のメッセージ。情熱を注げるものがあって、プロになりたいと思うのはごく自然な流れですが、果たしてプロになるのが本当に幸せなことでしょうか?夢を諦めた人間だけが見ることのできる世界や理解できる感情もあると思うのです。本書は野球に全てを捧げて生きてきた男の青春ストーリープラスほんの少しミステリ(笑)人生の厳しさをしっかり堪能したい方にお薦めです。2015/11/21
coco夏ko10角
38
御手洗潔シリーズ。1993年夏、『ロシア幽霊軍艦事件』→本書→『星籠の海』→御手洗外国へ。後ろ約200ページが野球選手による手記。御手洗潔シリーズなのに手にするのが遅かったのは未だに野球のルールとかきちんとわかってないからだったけど、そんな自分でも問題なく楽しめた。タイトルの『最後の一球』すごく効いてる。2018/05/26