出版社内容情報
オートバイ事故で入院中、病室の窓から双眼鏡で覗いていると、美しい女性が父親を刺す光景を目撃する。サスペンスに富む青春小説
内容説明
オートバイ事故で入院中の青年が病室の窓から、双眼鏡で目撃した「谷間の家」の恐るべき光景。父親を刺殺し、遺体を工事現場に埋める美しい女性―しかし、青年は彼女に恋をしてしまった。スリリングな推理性と良質のサスペンス溢れる長篇青春小説。本格ミステリーの異才が描く直木賞候補の注目作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
4
ある男のひと夏の燃えるような恋の物語。島田の青春グラフィティかもしれない。『異邦の騎士』然り、とにかくこういう話に弱いのが私。冷静に一歩引いて本作を観察してみれば、実は喜劇であるという事実に気付くのだけれども。しかし感傷的な島田の筆致は陳腐さを頭で解っていても、心にはびしびしと響いてくる。こういう作品を読むと、結局、小説とは斬新さがなくとも、技術で佳作・傑作が生まれるのだなぁと改めて思った次第。2009/07/28
しずく
3
御手洗さんでもない、吉敷さんでもない島田さんのミステリーは久しぶりかもです。『私』の若い頃を回想するかたちで進みます。年上の美しい人に一目惚れしてて近づいて、彼女の秘密に悶々として……。若い頃の甘酸っぱくて痛くて苦い誰しもが持つ経験。回想後の『私』は、彼女は今…その後が気になる話でした。2016/06/05
ニョンブーチョッパー
2
○1998/04/26
daichan
2
伊坂氏絶賛の青春小説。たしかに、短い中にぎゅっといろんなものが詰まった、時代を感じさせない読みやすさと内容がある。 19才には強烈な経験だね。いや、そうでなくても。 表紙はバイク。尾崎を思い出せばいいの?と思ったり。 >平和で、隣人と和気あいあいと暮らしているように見えた東京だが、玄関のガラス戸を一枚開けるだけでさまざまなエゴイズムが見えてくる。強烈な競争意識、自己愛、保身本能、排他願望、一戸建て住宅への固執、こういったあらゆる危険な感情が、表面は静かにバランスしている、それが東京という場所らしかった。2015/09/21
かりさ
2
この作品は島田さんの御手洗シリーズや吉敷シリーズを読む前に読んでいまして、島田さんの繊細な物語にとてもとても感動したものです。ミステリな部分というよりも切ない青春物語という印象が強く、いつまでもその切ない気持ちが立ち去らず留まったまま。今でも大好き。
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