内容説明
古物商の店先で偶然見つけた一枚の奇妙な絵。美術雑誌の編集長・水島純一郎はその謎の画家、石田黙に魅せられ、ネットオークションや関係者を訪ね歩くうちに、不可解な事件に巻き込まれていく。誘拐、監禁、そして謎の招待状…。虚実の皮膜を往還する叙述トリックの名手が、渾身の筆が描く美術ミステリー。
著者等紹介
折原一[オリハライチ]
1951(昭和26)年生まれ。早稲田大学卒業後、編集者を経て88年に『五つの棺』(後に改作して『七つの棺』)でデビュー。以後、大胆な叙述トリックを駆使した本格ミステリーからトラベルミステリー、サスペンス、ホラーと幅広い作風で活躍。95年には『沈黙の教室』で第48回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
104
2008/7/17 Amazonにて購入。 2017/8/2〜8/16 2年ぶりの折原作品。実在の画家、石田黙の作品をモチーフに、虚実入り混じった展開。叙述トリックの大家である折原さんなので慎重に読み進めるも、ちょっと冗長な感じでしんどかった。とは言え、決して面白くないわけではなく、リーダビリティは高い作品。 実際の石田黙作品を観てみたくなった。2017/08/16
あっ!chan
40
実在したらしい石田黙の作品を題材に、自らの才能の芽を積んだんだと恨む画廊と美術評論家への復讐劇。石田黙の黒い作品(ちょっと不気味で私自身はあんまり好きではないけど…)に、折原さんらしいドロドロした妄想の世界が重なって描かれているので、読んでて重たく感じるけど、真相が分かると捻りも無く意外にあっさりした構成でちょっと拍子抜けでした。覚悟して読んでいたのに…だいぶ折原ワールドに侵されているなぁ〜2020/07/15
星落秋風五丈原
31
絵を描く男こそ、幻の画家・石田黙なのか?この二つの疑問が気になって、どんどん先を読みたくなる。しかし、男の正体が判明すると、謎解きの面白さが薄れていく。また、それ以降明かされる事実にも意外性がそれほどないため、緊張感が途中で緩んでしまう。ベースにした事実が足かせとなって、虚構の部分を前面に押し出せなかったからかもしれない。 画家、石田黙とは何者か? 風変わりな絵の作者を追う美術雑誌の編集者。地下室に監禁されてひたすら絵を描き続ける男。実在の絵をめぐる迫真の美術ミステリ。図版多数収録。2008/08/06
りず
12
美術書を読んでる?と錯覚するほど絵が挿入されるので、世界観の作り込みが凄いなぁ…と思ってたら、石田黙って実在するの!?びっくらこいた。きっと水沢は、石田黙の絵を追い続けた作家自身なんだろうな。執念の描写がリアル。ミステリとしてはトリックもストーリーもイマイチだけど、石田黙の絵だけで十分なミステリ笑。狂気すら感じる作品群は素晴らしかった。展覧会、またやってくれないかなぁ。2017/05/31
crazy cool joe
9
実在の画家をテーマにしたミステリー?ネットオークションの描き方はすごいリアルだと思った。横浜の知り合いであんまり売れてない画家がいるけど芸術の世界で食っていくのは大変だ。面白かった。2015/06/19