出版社内容情報
頼もしい理想の上司が、ここまで情けない男になるなんて。秘書が見た「恋」の姿を哀切に描く表題作他4篇。絶品ユーモア小説集。
内容説明
人望ある52歳の病院長が陥った恋の病。若い恋人に振り回され、次第に常軌を逸していく姿が秘書の朝子の目を通して描かれる表題作ほか、旧家の一人娘の意外な男性遍歴が明かされる「離れの人」、妻を亡くした謹厳実直な男が家政婦に生活を乱される悲喜劇「沢村校長の晩年」等、円熟の傑作ユーモア小説五編。
著者等紹介
佐藤愛子[サトウアイコ]
大正12年大阪生まれ。甲南高女卒業。戦後、「文芸首都」の同人となり、小説を書き始める。昭和44年「戦いすんで日が暮れて」で第61回直木賞を、昭和54年「幸福の絵」で第18回女流文学賞を受賞。ユーモアにいろどられた世相風刺と、人生の哀歓を描く小説やエッセイは多くの読者のこころをつかむ。父の作家・佐藤紅緑、異母兄のサトウハチローを始め、佐藤家の人々の凄絶な生の姿を描いた大河小説「血脈」の完成により、平成12年第48回菊池寛賞を受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさきち
75
人物の描写が絶妙で、それぞれくすっと笑える出来事を集めた短編集。だけれどもあまりにもさらっと流れていくような展開ゆえか、少々印象に残りにくいと感じた一冊でした。2017/09/05
TATA
44
佐藤愛子さん初読み。面白いというよりも寧ろ興味深く読めた。きっと作者はユーモアに溢れ、普段の生活の中にも多くの楽しみを見出しているのだろうな。全五篇、子供の頃に親の話す「大人の話」を聞いているような感覚。ぱっと見、退屈そうな話でも視点を変えれば読み応えのある物語になる。そうできるのはきっと筆者の類い稀な何かを紡ぎ出す才能によるものなんでしょう。こういった年長者の視座は何かと面白く読めます。なかなか複雑な登場人物にも感じ入るものがありました。2021/01/30
パフちゃん@かのん変更
29
短編が5編。『院長の恋』と『沢村校長の晩年』が面白かった。善意であっても、人の好みはそれぞれだから自分の好きなようにできるのが一番幸せなのだと思う。2021/08/08
わむう
25
恋をテーマにした5つの短編集。精神科医でも自分の恋のことになると盲目となってしまうんですね。人間らしくて良いですね。2024/02/07
はる
23
最後の話しが特にとんちが効いていてとても好み2021/12/14