内容説明
「極道は身代金とるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した三人組。彼らと、面子をかけて人質を取り返そうとするヤクザたちとの駆け引きが始まった。警察署の目の前での人質交換、地下駐車場でのカーチェイス、組事務所への奇襲攻撃…。大阪を舞台に追いつ追われつが展開する痛快小説。
著者等紹介
黒川博行[クロカワヒロユキ]
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学卒業後、高校で美術を教え、86年、『キャッツアイころがった』で第4回サントリーミステリー大賞を受賞し、作家活動に入る。96年、『カウント・プラン』で第49回日本推理作家協会賞受賞。大阪を主舞台にした軽妙な語り口の中に、産廃問題や北朝鮮関連などの社会的テーマを取り込んだ独自の小説世界を持つ
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感想・レビュー
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Shinji Hyodo
89
今作は極道の組長を攫って身代金をせしめようとする三人組のお話。参謀役は元当たり屋で小男だが切れる(いろんな意味で)稲垣。無愛想で無口だが力技では相手を圧倒して怯むことの無いケン。事故で入院した事でこの2人と関わる事になる友永。極道の誘拐…一度は甘い汁を吸うものの二匹目のドジョウを狙ったばかりに悪夢のような四日間を過ごす事になる三人。地を這うような仕事で日銭を稼ぐ友永には思いもよらぬ大金が転がり込む事よりも仲間としての三人の繋がりが重要に思える様になる…これもある意味で絆⁉︎なのか。さて、身代金は如何に…。2017/04/11
タイ子
75
お金に困ったらヤクザの組長を誘拐しよう!なんとまあ命知らずな野郎たち。カタギがヤクザに喧嘩を売るって!?だから、面白いのです。黒川さんの小説は。手っ取り早く大金を手にしようと3人の男たちが立ち上がる(って言うのか?)まず一人目の組長の誘拐は成功、まんまとお金をせしめる。それで止めとけばいいのに、柳の下の2匹目のどじょうを追っかけて別の組長を誘拐するも、今度は仲間も組に拉致される。そこから始まるワル知恵のオンパレード。追いつ追われつ、一気読み状態。悪い事やってるのに、何故か憎めない男たち。お体お大事に!2018/10/24
ミーコ
69
ちょっと退屈するかも・・・なんて思って読み進めるも、やっぱり黒川さん スリル満点で一気に引き込まれます。コテコテの関西弁の会話がまた面白いッ ハチャメチャなのに映像を観てる様にハラハラ・・・ 永友さんがイイですね。うーん 最後は沖縄へ…と思ったのに そう来たか! 人付き合いは苦手なのに友情を優先する男気が素敵です。解説で出て来た「大博打」と「二度のお別れ」も読んでみたく思います。2016/02/29
キムチ
61
大阪を中心に周辺都市を疾走するノワールバイオレンス。友永・稲垣、殆ど声無のケンの3人。何れも似たり寄ったりの外れもん人生を歩いてきた奴ら。身代金をせしめようと吹っ掛ける相手も同じ穴の狢、私大の幹部らも。「殺したる」以外の語彙が無いかと思うようなひりつく場面の連続は余りにも非日常(でありたい)な情景ばかりでコミックの世界を感じてしまう。43歳の時の執筆ながら、今の黒川氏の疾走する場面構成と会話のアップテンポ色の萌芽がばっちり。白髪の元浜獣医~どっかで登場していたなぁ。2022/02/19
mr.lupin
45
「極道は身代金をとるには最高の獲物やで」。大胆不敵な発想でヤクザの幹部を誘拐した堅気の三人組。彼等と面子をかけて人質を取り返そうとするヤクザ達との駆け引きが始まった。黒川さんの作品らしくテンポ良く大阪弁が飛び交い、スピード感やカーチェイスもあり、またハラハラドキドキの場面もあったりで、メッチャ楽しめて満足できる作品だった。19冊目の黒川さんの読了本は⭐⭐⭐⭐⭐。2022/10/25