出版社内容情報
いかにして権力を握り、保持したか?なぜ戦いに破れ、権力を失ったか?最高の知識を注ぎ小説的手法で劇的に描くナポレオン伝
内容説明
フランス皇帝の地位と絶対権力を手に入れて百鬼夜行の政界を征する一方、アウステルリッツの戦闘などで軍事的才能を発揮したナポレオン。しかし、昇りつめた太陽は必ず没する自然の法則には逆らえない。下巻は、英雄ナポレオンの後半生を描き、国を統べ軍を指揮する最高指導者の勇気と決断、そしてあるべき姿を提示する。
目次
運命への挑戦(アルプスを越えて;絶対権力;帝政の誕生)
運命との苦闘(立ちのぼる戦雲;フランス帝国の全盛;ヨーロッパに吹き荒れるあらし;火炎はイベリア半島から)
悲運の凋落(のぼりつめた太陽;落葉の秋;ヨーロッパの孤児 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
24
マレンゴの戦い、ホーエンリンデンの戦い、ウルム戦役、アウステルリッツの戦い、トラファルガーの海戦、イエナ・アウエルシュタットの戦い、スペイン独立戦争、ロシア戦役、パリ陥落、百日天下とワーテルローの戦いと、下巻は戦争の嵐である。とはいえ、そこばかりに目が行ってしまうのはもったいないだけの内容がある。戦争の原因、和平の模索方法、ナポレオンの抱いた理想、彼と周囲の人々のすれ違いなど、目のつけ所には困らない。惜しむらくはナポレオンに視点が集中し過ぎな部分か。ナポレオン対策としてプロイセンが作り出した参謀本部方式2024/05/08
さきん
6
ナポレオンの栄光期から没落、死に至る後半。ナポレオンの判断力の低下や軍隊の肥大化、周りの学習能力の向上が伺える。また、フランス革命の果実が戦役によりほとんど台無しになったことによるナポレオンへの批判は大きい。2015/07/23
1048
1
上巻・下巻ともにとにかく長かったです。戦争に関する記述を理解しようとすれば地図は必須ですね。戦争の部分より政治権力の檜舞台に躍り出る部分が面白かったです。また期間をおいて読んでみたいかな2013/12/07
BIN
1
独裁権を得てから、セント・ヘレナで死ぬまで。平和を望むナポレオンに対して、かなり悪役なイギリスが拒否して、ロシア、プロイセン、オーストリアを巻き込みながら戦争ばかりして、なんだかんだで領土を広げていく話。それにしてもナポレオンが優秀すぎたため、指揮官はともかく司令官が全く育たず、ナポレオンがいないとダメダメ。さらに内政、外交の方でも優秀なのがいつでも裏切りそうなタレーランにフーシェ。人材いなくてナポレオンがかわいそうでしょうがありません。上巻の感想にも書きましたが、あんまり小説ぽくありません。2012/06/03
aks74
0
本書は長塚隆二の大著『ナポレオン』を文庫版上下巻に分けた内の下巻である。下巻では第一執政として権力を握ってから、栄光の頂点とそこからの転落、そしてセント・ヘレナでの死までを描いている。小説という体裁ではあるが、本書の末尾にある学術書を思わせるような参考文献の数々によって映しだされたナポレオンの生涯は非常に克明である。革命騒ぎの宝くじを引き当てながらも、元の木阿弥となった彼の最後の願いは「私は自分の遺骸がセーヌ川のほとりで、私があれほど愛したフランス国民に取り囲まれて眠ることを願う」という物だった。2010/11/19