出版社内容情報
一夜だけの浮気で夫の元へ帰る女と、男のすべてを独占すべくあえて殺人の共犯者となる女。相反する愛の形を見据えた表題作他二篇
内容説明
喫茶店主・高井由子と水産会社の社長夫人・山川美代子は、ともに私設気象予報官・岩谷啓一に魅かれていた。由子はその恋を一夜だけの浮気にとどめ、夫の元へ戻ってゆくが、美代子はあえて夫殺しの共犯者となることにより、啓一を独占しようとする。他に「写し絵の女」「植民地の女」の2篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
25
表題作のほかに2編合計3編が収められています。表題作は映画にもなったようですが、あまり気にしていなかったせいか創られていたことすらわかりませんでした。結構込み入った感じですが男性心理よりも女性心理を書かせるた方が連城さんはうまいと感じています。2015/02/15
James Hayashi
19
短編集。少し物足りなさがあるが、それはそれでいい。著者特有の感じがジワジワくる。2015/03/17
🐾ドライ🐾
9
謎めく女の話を3篇収録。表題作は二転三転するというか、実は斯く斯く然然、主人公の女性は……っていう話。登場人物から会話文からこねくり回すような感じで、連城作品としては苦手なパターン。もう1回読んでみたけど、読みにくいものは読みにくいのだ ムググ 3つめの『植民地の女』は視点を変えて見ると「実は……なのでは」という読みやすいほうの連城作品。2022/06/21
おくしょー
4
連城さんは2作目。表題作の中編ひとつ、短編ふたつ。短編でも恋愛でもどんでん返しあり。表題作よりも、「植民地の女」の方がジワジワくる。2019/03/28
nightowl
2
北海道を舞台にしながら、二人の女の間で揺れる男を洒落たフレンチミステリの様に描いた表題作が新鮮。桜木紫乃なら道産子感の強いこってりとした作品に仕上げそうで、それを想像するのもまた一興。他二作はもっと書き込みが欲しくなる物足りなさが目立つ。2016/03/01