文春文庫<br> 日曜日と九つの短篇

文春文庫
日曜日と九つの短篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 205p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167420031
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

中年男とホステス、嫁と姑、夫とその別れた妻など、多彩な人間関係を鋭く切り取り、人間味あふれる世界を築いた世評高い短篇集!

内容説明

見知らぬ男の後妻となるホステス(「日曜日」)、20年前の恋人と再会するやくざ(「裏町」)、腹違いの子を育てる玩具店の女房(「棚の隅」)…。名作『恋文』の直後に書かれ、裏町に住むさまざまな人々の胸の思いをあざやかに掬い上げて、著者の新たなる到達点を示した珠玉の10篇を収録する短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

63
比較的脂ののりきったころの作者の作品で、表題通りに10の短篇が収められています。私は好きな作品集です。女性の心情を書くのが非常にうまいと思います。母親の書簡になっている小説やパッとしない男女の恋愛話など短いながらも人間の情念がよく表れている気がします。本当にうまいと思います。2015/06/21

そうたそ

31
★★★☆☆ 結末で構図が反転してしまうような鮮やかな作品が有名な連城さんだが、この作品にはそのようなものはほぼなく、男女の恋をほんのりと描く短編集である。こう読むとやはり美しい文章。こういった作品集だからこそ連城さんの技巧が光る。表題作にもなっている「日曜日」がやはり最も印象的か。2018/02/05

S.Mori

30
男女の恋愛を描いた10の短篇が収録されています。どの作品も切なくてほろ苦く忘れがたいです。甘い恋愛の話ではなく、やり切れないものを感じることが多く、時にはぞっとすることもありました。姑が嫁をいじめることが出てくる「母の手紙」がその例です。でもその重さと暗さゆえに、現実味を感じます。男女のことはそれほど難しくて、ややこしいのかもしれません。表題作が一番の好み。自分の会社を倒産させてしまった男と結婚しようとしているホステスの刹那的なつながり。観覧車の上で共に死のうと声をかける男のかすかな救いが、胸に沁みます。2020/10/04

紫伊

19
街の片隅で起こっていそうな小さな日常。それらを切り取る何気ない言葉が洗練されたガラス細工のように光っていて思わず見入ってしまった。物語のほろ苦さがその美しさ際立たせる。表題作「日曜日」の味わいが特に好き。2021/06/12

nemuro

12
市立富良野図書館から借りた一冊。奥付を見ると、「1988年9月10日 第1刷」とあって、かなり以前の作品だが、特に古さを感じることはなかった。「日曜日」をはじめ10篇を収録。「『日曜日』と九つの短篇」というのが正確なところだろうが、そうしなかったところにも一つの味が感じられる。ありふれた場所にいるありふれた人たちの日常が男女の心情にスポットを当てながら、奥深い物語に仕上がっていて、秀作。ところで、本書を書きあげた頃、著者が36歳だったとは、俄かに信じがたい。2018/08/18

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