出版社内容情報
ルネサンスから現代までの泰西名画二十四点、そして絵の精が生み出したファンタジー小説二十四篇。プレゼントに最適! 豪華文庫本
内容説明
ブリューゲル、レンブラント、セザンヌ…。西洋美術史をキラ星のごとく飾る24の名画。その色と形が呼び起こす感興を、同じ強度のまま、短篇小説で再現するとどうなるか?2つの芸術ジャンルの間で白熱する感動の変電実験。こうして炉辺の語りの楽しさを堪能させる24の物語が生まれた。巻末に作者による図版解説を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
278
12の肖像画と、12の風景画から紡ぎ出される『千夜一夜物語』を連想させるかのような幻想物語。絵は初めて見るものもあるが、大半は既知のもの。それでも、こうしてあらためて見ると、それぞれの絵が持つ力を感じる。肖像画群はもうそれ自体が物語を内包しているかのようだ。そして、風景画群にはどこか終末的な気配が濃密に漂っている。絵も物語も、いずれも甲乙つけがたいほどに魅惑的だ。肖像画からはデューラーとベルリーニ、風景画からはロランとフェルメール。物語からは、単独の1篇ではなく、24篇の織り成すアラベスクをとるべきか。2016/12/21
かさねパパ
10
久しぶりの辻作品です。今回は、12の肖像画と12の風景画から画想を得て創作されてます。直接的な繋がりはないと、あとがきでは述べられてますが、絵の解釈の中から物語は作られていると思います。肖像画は全て人の悪徳を中心に置いて展開しています~それ故、やや暗く、教訓的な印象、風景画は幸せが語られます。どちらもしっかりした小説で、辻さんらしいと思いますが、個人的には後者の方が好きですね!やはり辻作品はどれをとっても、小説らしい小説~堅く、文章も美しく構成的で、何度読んでも心に残ります~美しい日本文のお手本と考えます2015/10/18
あきあかね
7
西洋の12の肖像画と12の風景画からもたらされるイメージをもとに紡がれた24の物語。 なかでも、ブリューゲルが描いた「雪の狩人」をもとにした、「氷の鏡」という物語が強く印象に残った。鈍色の空に沈み、雪に閉ざされた真冬の村。左手には狩りから帰ってきた狩人が大きく描かれ、遠景にはスケート遊びに興じる村人たち、遥かな雪山が描かれている。この絵から、次のような物語が生み出された。 ⇒2018/12/17
めにい
7
絵画を見ていて自分の心が広がっていくのは感じることがあるけれど、そこからこれだけの物語を紡ぎあげていく作家の目と心と腕に感嘆しきり。物語を読んでもう一度絵を見てしみじみとした気持ちになる。2015/03/18
三日月
3
12枚の絵画からイメージした24作の短編集。◇ 西洋の絵画からイメージされているので、作品の舞台は全てヨーロッパ。中世の街並みの雰囲気や暮らしぶりなどが、どの作品にも濃く表れていて、普段読むものとはずいぶん違った印象を受けた。脳内に浮かぶ景色が綺麗で、登場人物に魅力的な人が多く、幻想的な物語が多かった。個人的にはとても好みだった。2020/11/08
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