出版社内容情報
母の青春と家の過去を、少女の心理の微妙な陰影の中に写し取り、見事な小説空間を開花させる表題作のほか、王道をゆく傑作短篇集
内容説明
かつて、日韓の架け橋たるべき若者を育成するため、韓国青年の面倒をみていた祖父。その青年に魅かれていった、若き日の母―。そして、時は流れた。海峡を越えてきた遠来の客は、少女の前に、母の青春と家の過去を明らかにしてゆく。豊かなストーリーテリングの中に見事な小説空間を開花させる傑作短篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
12
こんな短篇集を読むと、やっぱり純文学は良いなあと思います。読んでいて決して楽しくなるようなことが書いてあるわけではありません。どちらかと言うと暗い内容なのですが、人間の生の重みがしっかりと伝わってきます。それを噛みしめることで生きるための糧を得られます。表題作は主人公の家に昔母が恋心を抱いた男性が訪ねてくる話です。彼は韓国人であり、日本との文化的な違いを自覚しています。男女の恋、戦争、親子の葛藤、時間の経過といったさまざま要素が盛り込まれた厚みのある小説です。→2020/02/27
キムチ
0
筆者の年齢からいって、「自叙伝」的な雰囲気の内容、もしくは周囲の伝え聞き?純文学の香りぷんぷんで、40年前の昭和文学の香り。今読むと、私の感覚からか?内容を咀嚼しきれない。言葉を弄しすぎて、持て余す。2012/08/15