出版社内容情報
大地震と大津波で島原の城下町は一夜にして埋没、砂漠と化した。大自然の咆哮におびえる藩主、武士、医師、町民の姿を描く短篇集
内容説明
「島原大変、肥後迷惑」寛政4年、島原の前山の大噴火が地震と津波を誘発し、島原の城下町は一夜にして埋没、砂漠と化した。大自然の猛威の前に崩れゆく小藩の運命と恐怖におののく藩主、武士、医師、町民の姿を、島原藩御抱えの青年医師の目を通して描いたパニック小説「島原大変」ほか、歴史小説3篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wei xian tiang
1
九州を舞台にした短編四作。表題作も、「海賊達の城」も、現代の社会感覚に引きつけ過ぎているように感じて興を殺ぐ。武士のノブレス・オブリージュは、天災に際して侍自ら土民の介抱をするというようなものではなかったのではないか、と直感的な違和感を感じる。2018/09/09
satoshi
1
未曾有の災害に遭って平時の秩序が失われ,しかし逆にそのことによって,人々が身分の上下関係なく助け合うという一種のユートピア状態が発生する。クライストの『チリの地震』を思い出した。表題作以外に「ひとうま譚」「凡将譚」「海賊たちの城」の三篇を収録。「凡将譚」の主人公,つまり"凡将"は大友宗麟の息子,大友義統。2009/04/15