出版社内容情報
外竃で炊くご飯、骨を煮たソップ、鰹をおろす母と手伝う女中──戦前の昭和の充足と家族の姿を追想し失われた豊かさの行方を考える
内容説明
外竃で炊くご飯、骨を煮たソップ、鰹をおろす母と手伝う女中―。戦前の昭和という束の間の充足の時代に幼年期を過ごした筆者が、舌の記憶を通して家族の姿と当時の生活を綴る。父のいない食卓が日常化している現代日本の荒廃の中で、かつて日本の食卓には父がいたことを懐かしみ、失われた豊かさを考える。
目次
食卓のある風景
没落士族・食の遍歴
下町と山の手の間
外竃・七輪・練炭火鉢
そばを打つ父
羽の生えた贈り物
親と子の銀座八丁
旅のスナップ
お尻の下の帽子
たゆたう時間・避暑地のくらし
戦争の前・戦争の後