出版社内容情報
十七世紀に経済的繁栄を謳歌するものの、他国の嫉妬の的となり、凋落の途を歩んだオランダ。世界史の教訓は、日本に何を教えるか
内容説明
十七世紀、英国とスペインが覇権を争う中、漁夫の利を得るように貿易国として経済的繁栄を謳歌したオランダ。だが、他国の動向に注意を払わぬまま内輪の政争に明け暮れ、自己中心的な平和主義を推進するうちに国際社会での信用は失墜、英仏の嫉視を買って凋落の途を辿っていく。このオランダの興亡は、日本人に何を教えるか。
目次
大国盛衰論としてのオランダ史
オランダと大英帝国
火と剣の支配
自由か死か
若き共和国
世界の海へ
忍び寄る衰退の影
宗教的対立からマーカンティリズムへ
戦備も戦意もないまま戦争へ
クロムウェルの夢と現実
カルタゴ滅ぼさざるべからず
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中年サラリーマン
21
覇権国家スペインが健在な間は貿易に邁進し経済大国へ突き進んでいればよかった。しかし、富めばスペインもちょっかいを出す。となればイギリス、フランスと合同で戦うしかない。ちょうどスペイン帝国も寿命に近づいていたのか打ち破ってしまう。しかし、それはスペインという王者がいなくなりパワーバランスが崩れたことを意味する。イギリスはオランダを後から追いかけてくる国。フランスも元々はオランダをよく思っていない。オランダは内政のゴタゴタで軍備がおろそか。周辺国のオランダ狩りが始まる。オランダをみた時、日本はどうか!2014/03/23
harass
20
貿易で世界を席巻し衰退したオランダの歴史を紹介し、日本のあり方を問うビジネスマン向けの歴史読み物。 「歴史から学ぶ」といっても、一般ビジネスマンは、歴史の素養もなく時間もないし興味のとっかかりが無いので、歴史書を手に取る機会は少ない。だが彼ら向けに噛み砕いて現代人の興味と問題意識をうまく絡めた読み物は数多い。しかし、個人的にはこういう種類の本はおざなりなものが多いので避けているが、この本は内容的にもスタイルも十分読むに耐えるものだった。用語や人名だけで覚えている歴史を肉付けしてくれる良書。2014/01/20
sankichineko
13
ウィリアムのもと高い理想を掲げ、百万の犠牲と80年を費やし達成した独立の後の歴史を知ったら、犠牲者たちは何を思っただろう。露骨な拝金主義と政治の混迷。「われわれ(イギリス人)のように強く勇敢な国民が経済的に困窮していて、自分達のための戦いをも金を払って他国民に戦ってもらっているような卑怯な商人ども(オランダ人)が世界の富を集めているのは、果たして正しいことなのであろうか?」イギリス人とオランダ人の所に、別の国民を当てはめて考えよう…。2019/05/03
Galilei
10
小国故にハプスブルグやスペインに翻弄し続け、マウリッツ総督は織田信長の如く最新兵器を駆使して独立を遂げた。副題の「日本が見える」が重要。例えば低地と山地は違うが、中世の治水や城郭の土木技術が干拓工事へ発展した。蘭では閉ざされた冬は読書に勤しみ、日本は寺子屋へ通い高い庶民の民度で科学技術が急速に花開いた。だがチューリップバブルや英仏戦争という経済と軍事の驕りが、国家の崩壊を招いたのは、第二次大戦やバブル崩壊の破綻に至った日本と似ており、外交や経済で背伸び続けた日本の稚拙さと危うさが17世紀末の蘭から学べる。2024/09/06
しんこい
6
再読。前に読んだときは宗教的理由でのスペインの殺戮の凄まじさが印象に残ったようですが、今回そういった宗教改革の影響はや新大陸からの富の流入等から入らないとオランダの繁栄もその後の衰退も理解できないと感じました。政争になると論理的に正しいかどうか関係ない意見に支配されて身動きできなくなるのは、今の状況にも通じます。2013/11/10
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