出版社内容情報
亡き夫人のことを綴って惻々たる「理解なき妻」「みれん」をはじめ、月刊「文藝春秋」名物・巻頭随筆で好評を博した珠玉のエッセイ48篇
内容説明
ガンをわずらって7年、毎年のように入退院をくりかえして力尽きた亡き夫人のことを回想して惻々たる名作「理解なき妻」「みれん」をはじめ、月刊「文芸春秋」の名物“巻頭随筆”欄で好評を博した珠玉のエッセイ48篇を収録する。
目次
ひと口話田中角栄
言えないのか言わないのか
あいさつ
岡目八目
川上慶子嬢退院
「菊竹六鼓」抄
旦那ハイケナイアタシハ手キズ
銀行来たる
「友のごときもの」再び
デパート半世紀
みれん〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
31
元版は1988年刊。「文藝春秋」の巻頭随筆に連載された48編を収める。全編これ山本夏彦節である。翁の夫人は癌を知ってから七年のあいだ、入退院を繰りかえしつつ逝った。最後の日々にふれながら夫婦の在り方をつづる「理解なき妻」。葬儀の際の挨拶文に胸を打たれる。「生きている人は死んだ人の話を聞いてくれない。一度は聞くふりをするがそれは「達人」で、二度とは聞いてくれないから私は死んだ妻の話ができない」。夫人なき日々の心持ちをしみじみとえがく「みれん」。達意の文章とはこういうものをいうのだと、読みかえすたびに思う。2015/01/08
いわさんたろう
0
現代の世相を皮肉る文体が秀逸。2007/06/28