出版社内容情報
戦後教育では「戦前は真っ暗な時代だった」と教えている。果してそうか? 切れ味抜群、夏彦節の醍醐味が横溢する辛口エッセイ集
内容説明
終戦このかた「満州事変から敗戦までの15年間は真っ暗な時代だった」と説かれてきた。しかしそれは真実なのか?当時の日記を引きつつ、巷間に流布する「戦前」観の虚偽を鮮やかに衝いた表題作。日本人の漢文・和文の教養の喪失から文化の断絶の姿を描いた「明治の語彙」―胸のすく切れ味の16篇を収録する。
目次
「戦前」という時代
棚のとりっこ(向田邦子一周忌;金語楼;棚のとりっこ;日本児童文庫;模範家庭文庫)
大寺学校(歌舞伎;前進座の子供たち;大寺学校;東京時代)
良心的(宴会;順番;質札;良心的;応酬)
明治の語彙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かつきち
1
久々の夏彦節を堪能した。 この時代に読んで新鮮?というか驚くのは戦前〜昭和60年を通史で振り返ると物価が上がった時期を景気が良いと自然に記述されていること。この20年お目にかかれない記述。 「闇市があるということは売るものがあるということ、市の数が日本中に渡ればさして高騰もなく、ゆえに飢えた者は少なくひもじい思いをしたことはないものも多い」は何度も聴いている話だが、今回は逐次日記と照らし合わせた振り返り。 明治の語彙は斎藤緑雨の文語の表現の豊かさと読みやすさに驚く。言語は不自由があるから美しいに同意。2019/02/23
枯れる蓮
0
面白くないので一個目の評論でやめ。2015/04/22
やまだだ
0
山本夏彦の文章というのは十年前に読んでもたいへん面白くはあったのだが30代なかばの中年になってようやく納得できるような部分も当然これ出てきたわけで、この分では40代以降になってから読んでみればまた更に楽しめそうだと思われる。しかし著者の文章がもっとも腹に沁みるのは50代60代になってからであろう。なぜなら夏彦氏の文章はその頑固で守旧的な香りが初老向きなテキストであるのみならず、文体そのものが「読みやすい悪文」のお手本のようなスタイルであり、話題の中心や論点が消えたり置き去りにされたり先に飛んだり、故意か否2012/05/02
オサム
0
読むのは3度めかな。好きな本である。親戚の知的な爺さんから「ちょっとそこに座れ」と言われて、説教されてるような感じが快い(笑)。昭和は、江戸・明治の文化がまだ残っていた時代だったと実感する。昭和も遠くなりにけり。2022/01/22