文春文庫<br> 巨怪伝〈上〉―正力松太郎と影武者たちの一世紀

文春文庫
巨怪伝〈上〉―正力松太郎と影武者たちの一世紀

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  • サイズ 文庫判/ページ数 550p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167340032
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0123

出版社内容情報

長嶋のサヨナラホームランで知られる「天覧試合」は正力松太郎にとって36年前の事件に決着をつける大芝居だった。その事件とは……

内容説明

九回裏、背番号3・長嶋の放ったサヨナラホームラン―昭和三十四年、昭和天皇を迎えた“天覧試合”の劇的な幕切れは、その時天皇の背後に座っていた一人の老人にとって過去の恥辱を雪ぐことを意味した。その男・正力松太郎。読売新聞、日本テレビ、巨人軍の上に君臨し、大衆の欲望を吸いつくした男を描く大河ノンフィクションの傑作。

目次

第1章 暴圧と故郷―青白いガス燈の下、血だらけで立つ正力
第2章 虐殺と伝令―伊藤博文愛用のステッキから凶弾一発
第3章 美談と略奪―武者ぶるいして読売に乗り込む
第4章 社旗と伝説―新聞の生命はグロチックとエロテスク
第5章 疑獄と遭難―正力テロ事件、六十年目の真相
第6章 不倫と絹糸―サヨナラ・ホームランをみた摂政宮
第7章 転向と墓銘―笑顔よしの沢村から微笑が消えた
第8章 決起と入獄―共産党の手に渡るなら読売をつぶせ!
第9章 祝宴と嫉妬―笹川良一がハダカで正力に説いた「浴槽の美学」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

30
二面性。現実主義であり理想家。嫉妬深く、かつ人情家。人脈と嗅覚で政財界を邁進。人材の活用と商機の見極めが氏の真骨頂。胆は「大衆」。但し、社会性ではなく、利益と権力。典型がプロ野球。プロ野球の父・・・。ビジネスとスポーツの視点で異なる。記録vs.記憶。大野氏、三木氏、緒方氏、群雄割拠での生存競争。虎ノ門事件がトラウマとなっているような気がしてならない。一方、”影武者”では鈴木(惣)氏。無私の姿勢に慕われる人柄。長嶋氏の件が印象的。嵐の中の静けさ、という印象。CIAの買収画策など、新聞史の観点でも興味深い。2015/05/02

長谷川透

17
調べごとがあって上巻のみ再読。最近何かと悪く言われることの多い佐野眞一氏の著書である。文章は熟れていないためか読みにくい箇所が多いが、調査は綿密であり、著者自体に疑念を抱くことはなかった。けれどもそれは、この著書が中心に据える正力松太郎の圧倒的な存在感故なのかもしれない。目的達成のための熱の注ぎ方は尋常ならざるもので、ときに手段を選ばず多くの敵を作る。しかしその一方で恐ろしく情深い、人間らしい一面を垣間見せられる。大凡相馴れない両側面の底深さが、この男の中には共存しているのである。2012/10/28

スプリント

8
ナベツネを上回る怪物。正力松太郎の評伝です。正力松太郎に魅了され、もしくは引き込まれ、利用された男たちの功績と絡めながら正力松太郎の人生を読み解きます 上巻は戦後の公職追放まで。2020/07/05

ちゃあぼう

6
正力松太郎の警察官時代から新聞社の上層部で活動している姿が描かれている。しかし、時代とは言え社会的地位が上がるほど命の危険がすぐそばにあるという怖い時代だなと思いました。そんな時代を生き抜いた正力氏の生命力は半端なものではないとは思えるのですが、これだけ名誉にこだわる人って実際に存在していて、周りの人たちはさぞかし嫌な思いをしたのだろうと、関係者たちが気の毒に思えました。伝記に描かれる方は大概志高く周りからは慕われる人が多いのですが正力氏は真逆ですね。人格が破綻しているように見受けられました。2025/08/30

ふくろう

5
凄い人生だな…これで大河ドラマとか作れそう笑笑 上巻は生まれてから警視庁、読売新聞を経て巣鴨プリズンまで。佐野眞一のノンフィクションは個人史的な部分だけじゃなくて、その周辺まで詳しく描くから、臨場感があって良い。リーダーシップや経営手腕は本物だったんだろうな。でも、周りの「影武者」たちは口では正力を崇めつつも、心の底から慕っていたようには見えない。むしろ、権威主義的な彼にどこか怯えてるような感じすらする。それだけのことをして富や名誉を恣にしてきた人が、それらを手にした先で見た景色が知りたい。下巻へ続く!2025/05/04

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