出版社内容情報
大戦前夜、軍部の専横と政党の腐敗に抗し、内外を揺がした粛軍演説によって昭和政治史に一条の光を投じた「日本のマーク・アントニー」の不撓不屈な反時代的生涯
感想・レビュー
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G❗️襄
5
斎藤隆夫は戦中軍部全盛期に憲政の番人として、政府を正義と正論で穿ち、痛烈に攻撃した稀有な政治家。取分け「粛軍演説」「反軍演説」が有名、その内容と姿勢は無類の迫力に漲っている。軍事費赤字公債の濫発、償還将来先送り方針には猛然と批判追求した。対支政策にしても、米内山庸夫の中国観に明晰を求め、現在でも通じる見識を示すは実に興味深い。草柳太蔵は日本の前途を憂い、斎藤隆夫を通じ真の政治家の姿を訴えた。だが上梓45年未だ。草葉の陰で無情の露に沈んでいるかと忍びない。斎藤隆夫は知の蓄財として広く認知される事を切に望む。2025/03/14