出版社内容情報
天下取りを果たした関白は茶や女性を愛する傍、朝鮮出兵を決断した。新資料を縦横に駆使、厳密な取材を基に送り出される秀吉の決定版
内容説明
明国を討つべし。日本平定後は唐天竺(中国・インド)を攻める以外に道はあらず。旧主信長の遺志の継承は、国内で新規の領土配分が不可能な現状の打開策でもあった。「わがはたらきは所詮、夢幻の如きもの」。そう囁きつつ、秀吉は日本・中国・朝鮮にまたがる三国国割り計画に基づき、天正二十年、朝鮮出兵の陣触れを出した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
110
奥州仕置を行い秀吉は天下一統を遂げる。信長の海外進出の野望を継ぎ、秀吉は唐入りを実施。文禄の役が始まる。朝鮮を通り明を打つべく西国大名を中心に出征する。明の属国の李氏朝鮮は、両班等の身分制度で国内が腐敗。日本軍に蹂躙される。しかし、日本軍は海軍で劣り兵站を脅かされ、明の援軍と冬の訪れに苦しめられる。「どうせ人の生くる年月は先の知れたるものだわ。儂が女子にうつつを抜かすのも、わがはたらきが所詮は夢幻のごときものと知るゆえだで。されども命のつづくかぎりは、信長旦那がように、いずくまでも押し抜いてゆく覚悟だわ」2016/01/01
イエテイ
2
天下一統後から朝鮮討ち入りまで。人間成功を続けるとこんなにおかしくなるものかと。朝鮮の人民を殺戮し山野を荒廃させ、日本の兵士の屍を異国の地にさらす、今に至る迷惑、文禄の役が始まる。李瞬臣はいいよな。2018/01/14
茶幸才斎
2
天下人への階段を駆け昇った豊臣秀吉の生涯を追う第4巻。関東・奥羽政策を巡り豊臣政権内では石田三成、増田長盛ら武家官僚が台頭し、家康や利家らと対立、利休を弾劾し切腹させるに至る。その一方、遂に秀吉の夢、文禄の明国侵攻作戦が始まる。世界屈指の戦闘集団は朝鮮半島を席巻し、「戦闘の経験をもたない朝鮮の兵士たちは、草を薙ぎはらうように人馬を斬るという獰猛な日本軍兵の捲きあげる砂埃を望見しただけで恐怖」(p.254)する。しかし、李舜臣の水軍、郭再祐ら義兵軍、そして明軍の参戦により、嗚呼、戦は次第に泥沼と化して行く。2013/06/10
デントシロー
1
秀吉の野望が信長の明攻略に大きく傾き陣触れを発することになる。まず、朝鮮出兵に手を掛け、出だしは好調であるがやがて行き詰まる。秀吉天下のほころびが始まり、利休との確執、秀長との確執、実子の死など個人的にも不幸、災いが起きる。まさに人生の浮沈をここまで体験するのかと感じさせる。それが今日まで歴史上の大人物として扱われる豊臣秀吉の所以であろう。2013/02/18
ホームズ
0
1996年5月23日初読