出版社内容情報
敵対する者は斬る、隊規を乱す者は斬る、鉄の規則で殺伐たる幕末の京都を押しわたった新選組の実像を新視点から描く歴史大河長篇
内容説明
幕末の京都、江戸より上洛した浪士組が殺人集団へ変貌していく。「士道に背かぬ、組を抜けぬ、金策を勝手にせぬ、訴訟を勝手に扱わぬ、私闘をせぬ」これら五カ条に背けば切腹という鉄の規則の下、敵対する者たちを次々に斬り捨てていった血まみれ軍団・新選組の凄絶なる実像を描ききった歴史連作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
55
再読本。新選組を知ったばかりの頃に読んで、これから好きになる予感をビンビン感じさせる凄まじき剣術描写に熱くなった小説。久しぶりに読んでもやはり熱かった!今改めて気づいたのは、どう転んでも斎藤一が脇役の帝王だという事。剣技も冴えているし、いい味出している。津本陽版新選組は、上洛から鳥羽伏見戦争まで。粛清、内紛の血の歴史が男くさく描かれている。ドラマチックなことは一切無しの根っからの剣客新選組小説。裏切りには死を!何故そこまでやるか、が語らわずともその一挙手一投足に表れている。誇り高き虎狼の群れに興奮! 2022/02/04
Die-Go
44
再読。津本陽による新選組もの。新選組を集団として捉え、その目的をとにかく殺人に重きを置いて活動させている。集団群像劇的であるためか、なんとなく焦点が合わずぼんやりとした文体だったように思う。剣劇場面の迫力はあるんだけどね。★★★☆☆2016/12/10
kou
12
以前は津本陽作品をよく読んでいた。 この作品は30年近く前のものであるが、津本氏の描く新撰組を前々から読みたかった。やはり独特の味があった。 新撰組と言えば、泣く子も黙る幕末最後の殺戮集団である。 たった150年前に平気で切腹や斬首をやっていたのだから、なんだか裏寒い。 近藤や土方にしても35歳まで生きられなかった。人生を駆け抜けた感がある。 私は新撰組が大好きなのである。 2014/10/28
コジターレ
7
斬り合いの描写がむごくて血生臭い小説だが、本来斬り合いとはそういうものなのだろうな。著者が、剣道、抜刀道の有段者のようで、剣技の描写は本格的だが、本格的過ぎてついていけないところも多々あった。面白かったが、何となく読みづらく感じ、読了まで随分と時間がかかってしまった。2017/06/03
AICHAN
7
新選組を題材にした小説はずいぶん読んだが、津本さんのこの「虎狼は空に」が新選組の実態におそらく最も近いのではないかと感じる。剣術家でもある津本さんならではの迫真の斬り合いシーンの描写のせいでそう感じるのではなく、近藤、土方、沖田をはじめ多くの隊士の内面の描写に無理がなく、彼らの人間味がよく出ていると思うからだ。私は土方歳三が好きで「彼のように生きたい」とよく思う。副長の権威で冷酷に隊士処分を行う点は好きになれないが、幕府が消滅しても自分の立場を変えることなく最後まで新政府軍と闘った一途さに惹かれる。2011/01/23