文春文庫<br> サイダーハウス・ルール〈下〉

文春文庫
サイダーハウス・ルール〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 526p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167309657
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

"望まれざる存在"として生を享け、堕胎医への道をたどる孤児ホーマーを主人公に、独自の視点で人間の生の営みを描いた傑作長篇

内容説明

サイダーハウスのルールとは何なのだろう。酒瓶を持って屋根に上がらないこと。たとえどんなに暑くても、冷蔵室へ寝に行かないこと。一度に6名以上は屋根に上がらないこと…。ホーマーは15年間その一覧表を壁に貼りつづけた。まるで人生のルールを探るかのように。現代アメリカが生んだきわめて“小説らしい小説”。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

70
望まぬ妊娠に苦しむ女たち、孤児たち、病人、怪我人と、多くの弱者が描かれている。一見暴力的で、ひどい内容のようにも見えるが、弱者たちを決して陰に潜ませたままにはしておかない彼の作品には、弱者への愛が溢れている。猥雑で、登場人物や出来事が象徴的な役割を持って描かれるアーヴィングの作品の中で、『サイダーハウス・ルール』は、かなりストレートに描かれた作品だと思う。違法行為と知りながら中絶手術を行う医師の話だが、不快感はない。何より、ホーマーがラーチ医師の本当の気持ちを最後にちゃんと理解できたのがよかった。2017/03/03

Vakira

54
人間は自由な生物だからやり放題に自由に生きると、他人に迷惑が掛かる事がある。だからお互いが不愉快な思いをしないように公正に考慮されたルールを作り出した。しかし、人間は考える生き物なので他人に迷惑が掛からなければ決められたルールを破ったっていいじゃん。なんて考えも発生する。本来、セックスは自分を残すための行為だ。しかし、子育てには母父両方の手助けが必要で、互いを繋ぎ止めるためのセックスには快楽が付き物。これが問題。人々は快楽を求め、疑似子作りのセックスに精を出す事になる。2024/09/09

sakap1173

30
 後半は主人公ホーマーと恋人キャンディと婚約者ウォーリー3人を中心に、もいわゆるラブストーリーではなく、スケールの大きいテーマのもとで、「15年」という年月とともにストーリーは展開する。 堕胎・孤児といったテーマではあるものの、読後感は想像していたよりも爽やか。 初めてアーヴィングを読んだが、何故評価されているのか少しは分かったかもしれません。  次は、「ホテルニューハンプシャー」にするか「ガープの世界」にするか。 さてどうしよう。2020/12/12

Small World

28
読了しました。アーヴィングの本は、どれも長いんで、読み始めるまでに助走を必要としますが、読み終えると、自分にとって大切な本を増やしてくれる素敵な作家さんです。この作品では、人工中絶という重たい問題を扱っていますが、作品世界で生きる人々は傷つけ合うことがあっても皆優しくて、温かな気持ちにさせられました。2019/10/01

tom

27
ずいぶん時間をかけて読了。中絶するということを背景にして、キャンディ、ホーマー、ウォリーのややこしい関係、エインジェルの面倒な立ち位置、ミスタ・ローズとローズ・ローズの父子関係、ミスタ・ローズの死にざまなどなど、これらがゴチャゴチャと絡み合う。アーヴィングだから書ける物語世界だとは思うのだけど、彼の書いたものを読み終えたときの気持ちよさ、納得感というものが少々希薄な読後感。アーヴィングにとって書きたかった中絶というテーマが混乱の元なのか。まだホテルも熊も読んでない。そろそろ読み始めようかと思い始めた。2023/02/22

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