出版社内容情報
丸二年と四ケ月、隠れ家のアンネたちにパンとミルク、花と本を届けて支えとなった女性が、あの日日をつぶさに回想する感動の手記
内容説明
隠れ家のアンネ一家にパンとミルクを、花と本を届けつづけた人、一家がナチに連行されたあと、隠れ家の床に散乱していた「日記」を回収、保存したその人。「あの人たちのことを悲しまずに過ぎる日はいまも一日とてない」と述懐する著者の回想は、「アンネの日記」の行間を埋める貴重な資料であるばかりか、それ自体感動と勇気の書だ。
目次
第1部 難民
第2部 隠れ家
第3部 暗黒の日々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Anj
43
いや~、本当にすごい本でした。ここ何年かで読んだ中でダントツの一冊でした。 戦争の残酷さを本当の意味で理解することはできないかもしれないけれど、その一端を知ることができる貴重な本だった。 ナチスのこととか本で理解した気になっていたけど、全然わかってなかったな。この歴史の上にEUってあるんだな。 あの戦争時、ヨーロッパでユダヤ人を匿うことがどれほど危険なことなのか、勇気ある無名の人々の行動が、何十年経っても人を勇気づけることができるんだな。少なくとも私はめちゃくちゃ勇気づけられました。本当に良い本でした。2019/06/29
りえこ
38
アンネ達家族をかくまってお世話し続けたミープヒースの物語。実話はそれだけでとても力があります。今の世の中に感謝しなきゃと思いました。こういう状況になった時にどれだけのことが出来るだろう。人間の力ってすごいなー。2019/10/07
シュシュ
36
イベント【アンネとお茶を】に参加。アンネ・フランクの一家の隠れ家生活を友人として支えたミープ・ヒースの視点で書かれている。あの頃ユダヤ人をかくまったオランダ人は大勢いたので、ミープは自分はヒーローではないといっている。占領下ではナチに協力するものと抵抗するものの二種類しかいなかったという。普通の人たちがこのどちらかになっていくのが恐ろしい。「すべてはそれと気づかぬうちにいつとはなしに始まり、その長い、暗い冬がわたしたちの上にどっかり腰を据えるのにしたがい、ユダヤ人の首にかけられた縄は締まり始めた」2014/03/05
扉のこちら側
34
初読。アンネ・フランク一家らを2年にわたり隠れ家に匿ったミープ本人による、アンネの日記の背景を補完する一冊。自らの危険を顧みず、良心に基づいた行動。誰もが飢えていた配給制の戦時下で、隠れ家の8人分もの食料を調達するのがいかに難しいか。それでも裏切らなかった彼女とその夫、同僚達に、人間性とはなにかを教えられる。2012/12/11
Wisteria
26
『アンネの日記』を読んでいた時、一番気になった人物がミープだった。隠れ家で暮らす八人を支援した人達の中で、性別と年齢、立場から自分と照らし合わせやすかったからだと思う。ミープが何故どのように八人を支えたのか、突然終わってしまった日記の後はどうなったのか。ミープ自身はどんな思いで日々を生き抜いたのか。「わたしはヒーローなどではない」と言い切るミープ。とんでもなくタフな女性だ。強く優しい。アンネが「人間の本性はやっぱり善なのだということを」と書いたのはミープがいたからだと。ミープだけではなく。私も信じる。2016/06/24