文春文庫<br> 千日の瑠璃〈下〉

文春文庫
千日の瑠璃〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 504p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167281083
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

千の視点によって語られる「まほろ町」の千日の物語。いかなる微細なものも逃さぬ文体と、重層的な描写が開く新しい小説の可能性

内容説明

この小説を読む者は、空高く駆ける猛禽となり、黄昏となり、あるいは降り注ぐ雨となって、「まほろ町」に蠢くすべての事象を知ることになるだろう。世に見捨てられた少年・世一、そして彼の飼う一羽のオオルリをめぐって、森羅万象は壮大なシンフォニーを奏でる。これは丸山文学の到達点を示す記念碑的作品である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アナクマ

28
リゾート開発に揺れる町。1000日間の出来事を1000ページ、1000の主語/視点で描くアイデアと執念の創作。「私は知恵の輪だ」「私は廃屋だ」没頭だ…浮世だ…よもやま話だ…羨望だ…氷柱だ…。わずかずつ進展するイベント、それぞれにうごめく町びとたちを、著者のフィルターを通して眺めるステンドグラスな構図。◉小説の作りに驚き興味ひかれ語彙の豊かさも味わえますが、肝心の〈著者フィルター〉はどうか。ときに生命の真実を抉ぐるようであり、ときに中二的な皮相も感じられ。結局、主語は千あるのか、ひとつなのか。92年刊。→2024/02/29

吉野ヶ里

12
読了。昔、予備校の模試で出た文章で、ずっと心に残っていた一作。予想の十倍は気合いを入れて読まなければならなかった。端正な文章を書く作家です。始めに、最後の日付を確認してから読んだため、あと何ヶ月、あと何日と時の経過を味わうように読みました。正直、心踊るような物語ではなかったですが、静謐な時間を与えてくれます。体力と時間を無限に取られるので、十年に一度くらいの頻度で手に取りたいですね。読書というか、瞑想というか、なんだったんだこの時間は。2020/07/06

ダナヲ

4
ようやく読了、千人称による千ページの物語。ふう。カバーめくってすぐの作者の言葉に、純粋に拍手喝采を送りたいです、パチパチパチ。こんなもの書き出して終わらせるなんて正気の沙汰じゃないやい。化物領域。でもまたいつか読みたいとおもった。難解哲学ではないんだけど緊密見事。大きな経済に流されつつある小さな町で、いろんな個性を持つ人が住み関わり合い生きていて、それらを横切るように世一が踊る様と、オオルリが包むように飛んでる様がなんだかニヒルでアイロニックで、ときどきすごく可愛くって、とてもいい。2012/09/25

yojohon

3
修行のような読書、完!1000の視点で物語が綴られ、中核にいるのは少年世一とオオルリ。多角的ではありますが、世一のピュアさと世界をぶれることなく見据える彼の視点が、まさに地軸であったのですな。人間はちっぽけで切ないが、世界は壮大。ズレまくりブレまくりの私の地軸を鍛えれば、今見えてないものも見えるのだろうと、修行僧のような気分でオツ。2012/08/13

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