出版社内容情報
千の視点によって語られる「まほろ町」の千日の物語。いかなる微細なものも逃さぬ文体と、重層的な描写が開く新しい小説の可能性
内容説明
「私は風だ」「私は闇だ」―。小説の視点は一ページごとに変わる。その千の視点によってつむぎ出される「まほろ町」と、少年・世一、そして一羽の鳥の千日の物語。いかなる微細なものも逃さぬ文体と重層的な描写は、まったく新しい小説の地平を切り開いた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yojohon
2
吉本隆明の本に出ていたので気に留めておりました。絶版なのか書店で買えず、密林で購入。文藝春秋の70周年記念の書き下ろし作品。わあ、でたあ、また化け物だ。1ページ1話。どれも「私は〇〇だ」から始まり、それは生き物だったり、感情だったり、物体、非物体であったり、少年世一を取り巻く小さな町の物語が1000の視点で語られる。下巻に早速参ります。あと500、何が出て来るのやら。言葉の切れ味に凄みがあるのは、1000話作り出す作者の精神の現れか。相当の覚悟がないと書けないでしょ。想像しただけで身震いする。2012/07/01
ndj.
2
まるで千日回峰行のようなこの物語は、書くことに意義があり、書かれたことに意義があるのだろう。言葉を選び抜き、形式を整え、硬く締め上げていく様は厳しい文体修行のようであった。2012/02/14
陽之理
1
出た当初に読んだけれども印象に残ってる。1992/12/15
ダナヲ
0
千の視点による千の物語。借りてた本をよくやく読了、読めたことに感謝。この一切の無駄のなさはなにこれ凄い。頭の中はまほろ町でいっぱいだ。なにこれ狂いそう。あと500…化物作品だ!でも止まらない。ひーん。2012/08/30