出版社内容情報
ジャングルジムから転落して10歳の少年は死んだ。8年後、復讐の連続殺人が人々を血に染める──。赤川ミステリー初期の傑作ホラー。
内容説明
子供部屋は空っぽだった。椅子の上に置かれた血で汚れたシャツと暗い眼差しの遺影を除いては…。八年前、僅か十歳で少年は死んだ。正にその葬儀の日、莫大な遺産相続の報せを受けた母親は、息子を追いつめた級友達への復讐を決意するが―。憎悪の魂がもたらす血の償い。哀しみと恐怖が交錯する傑作ホラー。
著者等紹介
赤川次郎[アカガワジロウ]
昭和23(1948)年2月29日、福岡生まれ。桐朋高等学校卒業。51年「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞、以来ベストセラー作家として活躍。「幽霊シリーズ」の他に、三毛猫ホームズ、三姉妹探偵団など、数々の人気シリーズがあり、著作は500冊を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
77
8年前、僅か10歳で少年は死んだ。その葬儀の日、莫大な遺産相続の知らせを受けた母親の倉岡恭子は息子を追いつめた級友や教師への復讐を決意する。一見、財産を使っての報復を描いた作品のようにも思えるけれど、実はホラー。感触が怖いというより、薄気味が悪い。少年が死んだ理由が明かされるのが中盤以降。悪意はそんなになくて、無理解やちょっとした強引さが原因で、実際に有り得そうだ。登場人物が多めで後半は惨劇が続くが、少年が化け物的に出てくるわけでもなく存在を匂わせる程度。運命に操られたかのごとく人が死んでいくのが不気味。2023/07/06
roomy
26
母親の復讐のお話かと思ってたのに最後にぞくっとしました。読みやすさはさすが赤川作品ですね。2013/12/24
青豆
20
8年前、僅か10歳で死んでしまった少年の事件を軸に展開されるホラー小説。少年は事故でなく、担任の教師と級友達に追い詰められ死んだのだと思う母親の復讐劇にしないところが赤川さんらしい。子供が持つ残酷さと大人の身勝手さによって殺された少年。その少年の無念さを象徴する子供部屋の椅子の上に置かれた血で汚れたシャツと暗い眼差しの遺影。軽い文体で読みやすいが、赤川さんらしいユーモアが皆無であり、ぞくっとする怖さと不気味さがある作品。2015/01/10
マサキ@灯れ松明の火
20
8年前…少年は死んだ…自覚なき殺人者達への復讐を誓う母……復讐を遂げるための遺産が、決意を揺るぎないものとする………1人…また1人と死が訪れる時……母の復讐の背後に隠された真の復讐者の姿が現れる……2012/10/27
あなご
20
文春文庫秋の100冊フェアのコーナーにあったので読んでみました。8年前に息子を亡くした母親が息子を追い詰めた級友達へ復讐を決意・・・1人、また1人と当時関係していた人達が犠牲になっていくのが怖かったです。どんどん物語に引き込まれて行きました。しかしラストが微妙でした。物語に引き込まれていただけにあの終わり方は残念です。2012/10/01