内容説明
徳政を目指した順帝も急逝し、後漢王朝は外戚と宦官による腐敗を深めてゆく。そのような永寿元年(西暦155年)に、曹操は生まれた。続いて孫堅・劉備が。三十年後、宗教組織・太平道の信者を核に三十六万人が黄巾の叛乱に応じた時、曹操と孫堅は討伐軍に参加、劉備は学問を諦めて無類集団の中心となっていた。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成18年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k5
60
やっと最後の方で黄巾の乱が始まるのですが、知らない人ばかり出てくる前半戦もかなり面白いです。ポイントは皇帝の周りの世界が外戚と宦官に限られてしまっているなかで、誣告ということが政治家たちの致命傷になっていくところですかね。中国の王朝って必ずこのプロセスを繰り返しているように思えるのは何故でしょう。ラストで董卓が登場しますが、独特の描かれ方をしそうで続きが楽しみです。2024/09/14
スター
59
この巻も面白かった。皇帝が若くして亡くなり、次の皇帝も若くして即位。壮年になる前に、やはり若くして亡くなるという悲劇が続く後漢末期の中国。 ならず者のような腐敗した官僚が跳梁跋扈し、まともな人物は次々と殺される。地震や洪水も頻発し、政治の腐敗に絶望した民衆の中から太平道のような宗教団体が現れ、後に武装して黄巾と呼ばれることになる。 本書の後半では、三国志でおなじみの曹操や劉備が登場。曹操は早速活躍し始める。2019/08/23
Die-Go
43
図書館本。曹謄はフェードアウトしていき、いよいよ曹操の時代へ。ここまで後漢の混乱を描いてきたが、末期になり、ますます混迷の時代へと突き進んでいく。★★★★☆2022/03/20
Book & Travel
43
腐敗が加速する後漢王朝。その引き金は、皇帝さえも毒殺し中国史上の大悪人と言われる梁冀。この梁冀の時代、続く宦官の時代も、権力を握った者がただ己の為に横暴を振るい、良臣は消されていく。国が一層乱れる中、曹操、劉備、孫堅、董卓ら三国志の主要人物が登場。彼らの若き日のエピソードに気持ちが盛り上がる。終盤の黄巾の乱では、劉備の活躍は無く、皇甫崇の戦ぶりと曹操の鋭敏さが印象的。演義ベースの物語とはやはり異なるが、乱の規模感や朝廷の動きなど全体像が具体的に分かって面白く、この巻も一気読みだった。先がますます楽しみだ。2022/03/04
ジュール リブレ
40
2000年も前の話⁈なのに今と変わらない?人の世はそんなもの? 中国・後漢の皇帝の、あまりの使えなさと、周りで私欲を貪る人々を描きながら、善玉はどんどん殺されて食傷した頃に、いよいよ三国志の主役たちが誕生。まだ表舞台までは届かないけれど、黄巾の乱も始まり、少し知ってる三国志へ!2019/06/19