内容説明
建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。六代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に一人の幼い宦官がついた。その名は曹騰。後に八代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成18年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちび\\\\٩( 'ω' )و ////
76
通常の三国志よりも遥か100年以上も前からこの物語は始まる。英雄今だ湧出せず、腐敗堕落した官僚と政治。次代の皇帝や名臣達も、悪臣達の裏切りや野望によって次々と倒れていく。歴史が後世の人々に教化する、不義を行う者の天罰の図が脈々と描かれている。そして宦官(去勢された男子)の曹騰が登場。今まで宦官は養子を持てず一代限りであったが、八代目順帝の頃、養子を持ち爵を継ぐことを許される。この何気ない少しの変化に天意がある。後に養子の曹嵩を持ち、その子供に曹操が誕生するのである。「宮城谷正史三国志」堂々の開幕!2017/02/27
k5
67
めっちゃ面白かった。『三国志』と言いながらまだ、曹操の祖父しか出てきてないが、なんというか家と一人の主君を守る日本史よりも、権力争いや主君の変更もある中国史の世界の方が現代的な気がしてきました。あと日本史で主君に諫言するというコンテキストはあるっちゃあるんですが、中国史って政局における論争をよりドラマティックに見せてくれます。なにしろ諫言したら煮殺されたりしますし、、、続きが楽しみです。2024/08/10
とし
66
三国志〈第1巻〉。宮城谷さんの小説読むの何年振りか?全巻(12巻)完結したので読み始めました、孟嘗君(全5巻)の倍以上(^_^;)物語は後漢末期から始まるので登場人物が多し名前も似通っているので四苦八苦、最初は少し戸惑いながらやっと読了じっくり腰を据えて読まねば。2014/04/10
スター
60
西暦25年に始まる後漢王朝は、皇帝が若くして亡くなり幼帝が即位するという状況が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れた。 この巻では三国志でおなじみの人物は出ず、曹操の祖父の時代が描かれる。吉川英治の三国志とは違った面白さがありました。 元々宮中の小間使いだった宦官が、養子を迎えたり、高位につけるようになったのがこの時代だったというのも初めて知った。 紙を発明した蔡倫が時の皇帝に疎んじられ、毒杯を煽って亡くなったのも知らなかった。2019/08/18
Book & Travel
47
日経夕刊で連載中の『諸葛亮』を読んでいて、宮城谷氏の三国志が読みたくなり手に取った。本作は、なじみの横山三国志や吉川三国志などの元となった三国志演技ではなく、正史三国志をベースとしている。書き出しは黄巾の乱より百年近く前、四知という訓言を残した清廉な人物・楊震から始まる。外戚、宦官、官僚の権力争いが続き、衰退していく後漢王朝の中で、楊震、張綱など優れた人物が表れ、消えてゆく。劉備も曹操もまだ出て来ないが、様々な人物が丁寧に描かれ面白い。自分の中の三国志のイメージがどう覆されるのか、少し怖いが先が楽しみだ。2022/02/27