文春文庫<br> 死の記憶

文春文庫
死の記憶

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  • サイズ 文庫判/ページ数 377p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167254421
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

スティーヴは三十五年前の一家惨殺事件の生き残り。犯人の父は失踪その記憶は封印されてきたが……。エドガー賞作家が描く家族の秘密

内容説明

時雨の降る午後、9歳のスティーヴは家族を失った。父が母と兄姉を射殺し、そのまま失踪したのだ。あれから35年、事件を顧みることはなかった。しかし、ひとりの女の出現から、薄膜を剥ぐように記憶が次々と甦ってくる。隠されていた記憶が物語る、幸せな家族が崩壊した真相の恐ろしさ。クックしか書きえない、追憶が招く悲劇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

167
トマス・H・クックという作家のターニングポイントとなったといわれている本書を一気に読んだ。ちょうど物語全体を蔽う霧のようなものが、断片的な記憶の復活とともに徐々に晴れてきて…テレビドラマで話題になった『眠れる森』とよく似た展開だが…映像を使わずに文章だけで読者を引き込む 筆力には 感嘆する。記憶のフラッシュバックを効果的に使って、過去と現在を描いていくという点では、『緋色の記憶』よりも面白く、夢中になれる。謎解きよりも雰囲気を味わうタイプの本である(2000年このミス海外第7位)2010/05/16

yumiko

68
今も精力的に執筆活動を続けるクック中期の一冊。35年前父が母と兄姉を殺害し逃走、9歳のスティーヴは一人残される。事件は時に埋もれていたはずだったが…。喪失と苦しみの果てに辿り着いた真相は、分かってしまえばこれしかないと思えるもの。すべては書かれていた。大き過ぎた目くらましが消えた後に現れるのは、悲惨な猟奇事件ではなく家族の愛が招いた悲劇。巧みなストーリーテリングとはこういうものを言うのだろうとため息さえ洩れる。今更だけれどクックって凄い!手元にある代表作「緋色の記憶」もじっくり楽しみたい。2016/01/11

GaGa

40
解説にクック作品は「地味だ」「暗い」と書かれているが、まさにその通り。ただ、どうにもじりじりとしながらもページをめくらせる技量がある。「緋色の記憶」より先に書かれた作品で、一人称で書かれた文体はより読みにくいが、ラスト数ページで明かされる真相はかなりヘビー。続けて読みたくはない作家だが、しばらくした後また読みたくなる作家でもある。2011/08/29

*maru*

31
クック2冊目。あの日…1959年11月19日。家族を虐殺した父親は黒い水溜まりを作る冷たく重い雨が降り頻る中、姿を消した。暗い。ひたすら暗い。その暗闇から差し出される手を振り払う事も出来ず、自らの意思で“真実”の目撃者となる。始めはただの傍観者だった筈が、物語の進行とともにスティーヴの記憶に飲み込まれ、自分の中に眠る記憶が呼び起こされるような感覚に陥る。追憶が招く悲劇。そして、悲しすぎる結末。クックが操る“記憶”は陰湿だが不思議な魅力に溢れている。「記憶とは、生の時間を失くしていく私たちへの慰めの報酬」2017/05/21

♪mi★ki♪

23
父親が自分以外の家族を全員殺して失踪。後に普通に家庭持ちとなった主人公は家族殺しの父親(夫)を研究する女性に協力することになり、父親の殺人の真相に迫ってゆくという話。家族内での秘密、孤立、葛藤がこれでもかってくらい描かれてます。他人ならば縁切ればいいだけで簡単。じゃ、簡単に絶縁出来ない家族だったらどうすんの?そんじゃ殺しましょうか?ってなるの?本当にそれが真相なの?って気になっちゃって後半一気読み。夫婦愛、親子愛、兄弟愛について考えさせられる家庭持ちの男の人には特に身につまされる怖い一冊かと。~_~;2016/05/10

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