出版社内容情報
三十歳男、バツいち、コブつき、職業・便利屋。そんな冴えないバーナビーの前に天使が現れた。待望の最新作が登場、解説・山田太一
内容説明
お客さんは僕のことを信頼できる男だと思っている。よく考えるとそう思っていないのは僕自身なのだ…30歳、バツいち、職業・便利屋のようなもの。何をやっても誤解されやすい、さえないバーナビーの人生が、ひょんな出会いをきっかけにキラキラと変りはじめた。実力派作家の新たな拡がりを感じさせる会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みみぽん
10
この物語。正直、アン・タイラー本の中では中盤までは読むのが、なぜかとっても苦痛だった。30歳バツイチ男。バーナビー。なんでも屋。いい歳して親に文句ばかり言ってる中二病…そんな気がしたからだ。ところが、読み進めていくうち。過干渉な母親。結婚の失敗。天使だと信じ込んだ「彼女」との行き違いあたりから俄然面白くなる。枯れた老人たちとのエピソードも悲しいけどいまを一生懸命生きてみようと思いたくなる。日常だらけの小説、どこが愉快なの?と感じる方どうか最後の一行まで読んでほしい。きっと忘れがたき一作になるはずだ。 2021/05/31
いぎーた
7
冴えない30代のバツイチ男が、未婚の30代女性に出会って、という話。 とても正直な小説で、ヒロインはあくまで主人公目線から魅力的に映っているだけであることなどがよく伝わってくる。そのリアルさが昔は良かったのだけれど、自分もその年代になった今となっては読むのが辛かった。2017/08/18
Koki Miyachi
7
何の変哲もない日常。何かが起きそうで何も起きない。それがアン・テイラーの手にかかると、心地よく心に染み入る素敵なお話になる。登場人物の個性がくっきりと感じられ、脳裏に鮮明なイメージを結ぶ。彼らは時の流れの中で少しずつ生活が変わり、小さいけれど新しい何かを発見する。「この小説の面白さは自分にしか分からないのではないか?」そんな思いを抱きながら愛でる読書は、とても豊かでワクワクする時間だった。2013/03/09
よし
5
30歳、バツいち、職業ー便利屋。なんの希望も夢もなく、毎日をおくるバーナビー。彼の前に出会ったソフィア。彼女はやはり天使だったのか?「僕が知りたかったのは、人間は変わることができないのか、ということだ。永遠にそのままでいなきゃならないのか?」そのバーナビーの人生を、人生観を、大きくキラリと光ったものに変えていく。そして、いつでも老人たちをみる眼は優しくて、誠実である。・・最後の結末のシーンは初めのシーンの裏返し。封筒の中にあるぼくのメモは衝撃すぎた。こうなってほしくなかったのだが。ため息がでてしまった。2017/05/24
YOMIPITO
3
アン・タイラーの邦訳読み進み、未読あと一冊まで来てこれはベスト。ヘルパー未満30歳男子の顧客の老人たちや家族とのお話。 解説文が山田太一で、内容もとても山田太一っぽい様々な世代の描写。 ドラマで見たいし、山田太一も読みたくなる。2023/04/07