出版社内容情報
失意のうちにギリシアで酒浸りの日々を過ごす中年男ハリーの前に現れた美女は山で失踪。"善意の恐ろしさ"を活写する待望の作
内容説明
ギリシャのロードス島山頂付近で姿を消した娘ヘザーの謎を解くべくイギリスへ戻ったハリーの前に立ちはだかる疑惑の壁。だが、戦友にだまされ、上司の息子の讒言で会社を追われ、酒に溺れる冴えない中年男にも骨はあった。次第に明らかになる大いなる陰謀とは?人の善意の恐さを語って尽きない鬼才が展開するゴシック・ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぴー
11
気持ちの良い眩暈におそわれた。精緻な庭園迷路をさ迷ったあげく、ゴールしたあとに高台から見下ろしてみると「こんなルートで綺麗な絵が完成してたんだ!」と驚くような。帯にある「善意の怖さ」って惹句の意味が分からないまま読み進めたけれど、最後の最後になってストンと腑に落ちた。登場人物は多いし、誰が見方で敵なのか分からない五里霧中の読書だったが、主人公ハリーと共に各地を転々と旅したような贅沢な読書になった。やっぱりゴダードは「現代の語り部」と称されるだけある。素晴らしい作品。続編も楽しみです。2023/03/08
hit4papa
8
フォーマットはミステリではあるものの、文芸作品に分類した方が納得できる重厚さです。やたらと多い登場人物と錯綜した人間模様、こんがらがったプロットが印象的。読みきるのになかなか体力を要するゴダードの名品です。
daimonn
6
お見事な作品で読み終わって思わずため息。まるで熟練の職人技を見せてもらったかのような。巧いな、ゴダード。今まで貧乏くじばかり引いてきたのは騙されやすい性格が大きな要因のひとつになっているのだろうけど(あとは酒)、その性格は一方では素直に人を信じられる素晴らしい性質とも言えるし、不器用さはある意味人に信用を与える強みになるのかもしれない。物語の重厚さに加え、冴えないおじさんハリーがいい味出してました。2017/02/05
アヤネ
5
主人公ハリーの目線で、どんどん謎が解明されていく。表紙帯の「善意の怖さ」という文句に、読後考えさせられてしまった。「千尋の闇」とはまた少し違った、歴史色はあまりない物語。でもさすがゴダード作品、やっぱり面白い。ハリーが好感が持てたので、再登場する「鉄の絆」もいずれ読みたい。2014/07/25
おふねやぎっちらこ
4
主人公は,酒ばかり飲んでいる。メタクサ,ウーゾ,ビール,ワイン,スコッチ。うーむ共感2003/11/15