出版社内容情報
自己について、書くべきときが来たようだ。──時に終戦直後の昭和21年、40歳の文士の血を吐くような声が聞こえる。敗戦日記の続編
内容説明
自己について、書くべきときが来たようだ。自己を愛するが故に、容赦なく剔抉する。自己のうちの不潔をのこらずさらけ出して、自己を不潔から救う―。時は太平洋戦争終戦直後の昭和21年。40歳になった作家の血を吐くような声が聞こえてくる。これは「敗戦日記」の続篇といえる、“最後の文士”の生き様の記録である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
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当たり前だが大事なこと。………昭和21年10月29日:ゲーテに於ける創造と現実の関係。ゲーテの、詩についての告白ーーー自己の詩作は悉く事に触れて出来たもので、現実に由って刺激せられたものであり、そこに根底と地盤を持っている。従って虚空から獲得し来った詩には重きを置かない。「自分は恋をした時のみ恋の詩を作った」(ゲーテ)2017/08/14
iwashinyan
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2014。なんなく読み始め、そして、高見順の魅力に嵌まる切っ掛けになった作品。静かに確かにその時代を見つめ感じ想い考えている高見順さんの日々の綴りが時を越えて現代に生きる私の中に沁み込んで来ました。このあとに続く『敗戦日記』も早々に読み終え、以後、私の恋人文士となります。