出版社内容情報
古銭コレクターの老人が殺され"甲州金"と呼ばれる蒐集家垂涎の小判が消えた。しかも現場は密室どう犯人のアリバイをくずすか。表題作ほか五篇すべて意外性と息をのむ大型トリックで読者に迫る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
67
最初の短編集。恐怖小説のようなもの。 あとがきに代えて,山村美紗の作品ノートがついている。 殺意の河,血の鎖,歪んだ相似形,憎しみの回路,ストリーカーが死んだ,死体はクーラーが好きの6つ。 テレビドラマになったものもあるという。 いずれも面白く,変化に飛んでいます。 こんなすごい小説を書いていた山村美紗が、初期の段階でなぜ江戸川乱歩賞の候補になりながら賞を取れなかったのか。2010/11/19
りんご
1
殺意の河:高価な古銭を持って逃げた女、そっくりな若い女、定期入れに入った形見の古銭。のりこ。 /血の鎖:不妊と血液型と。/歪んだ相似形:人工受精の提供者、医局のパワーバランス。少々の不都合だった筈が、時間を経て大きく取り返しのつかない秘密になる。/憎しみの回路:不倫、短縮ダイアル。/ストリーカーが死んだ:これも不倫といにしえの電話線トリック。/死体はクーラーが好き:これはタイトルからの仕掛け。電気代そんなに違うのか。//イヤミス詰め合わせ。面白かったが、どれも同じテイストなので続けて読むとくどいかな。2021/09/19
TANI
1
大学の近くの古本屋で20円で購入した本だったので、あまり期待もせず作家の名前すら知らず読み始めたのですが、思いの外面白く良い意味で期待を裏切られました。重くないわりに、きちんとトリックは存在していて満足感があります。表題作のトリックはタイトルでなんとなく想像がついてしまうものの、やはり完全に見破ることの出来るような単調なものではなく、飽きることなく新鮮に読み終わりました。2018/10/18
taikotataki
1
推理小説フリークな母親の本棚より。山村美紗さんは今作でメジャーデビューを果たしたそうです。シンプルイズベスト。 ミステリーを多くかじっているわけではないので強くは言えないのですが、殺人の動機が軽すぎな気がします。「嘘吐かれた…殺そっ♪」「こいつ鬱陶しいな…殺そっ♪」…短絡的すぎる(笑)。短編だと文字数制限が厳しいでしょうし、仕方ないですけどね。でも、恋愛絡みで殺人に発展するケースって実際にはどれくらいあるんだろう?不慮の事故、無差別殺人、自殺の数なんかも多いですからねぇ。理由があるだけマシ…なのか。2012/12/20
コマンドー者
0
山村氏の初期の短編を集めている。表題作はトリック主体の本格趣向だが、他の作品は本格というよりはサスペンス風味の毒のあるというか陰惨な結末の怖い話が多い。2021/07/04