出版社内容情報
日本海軍が初めて大敗したミッドウェー海戦。死者たちは、それまでの生をどのように生き、どのように死んでいったか。歳月も消せなかったさまざまな愛の姿を描く
内容説明
ミッドウェー海戦の日本側の死者3064名,米国側の死者363名。死者たちは、それまでの生をどのように生き、どのように死んでいったか。そして遺された者たちは…。あいまいだった死者数をつきとめ、一人一人について厖大なデータを集め、日本全国はもちろん、アメリカにも数度取材した愛と哀しみの渾身のノンフィクション。61年度菊池寛賞受賞作。
目次
第1章 友永大尉の「真実」
第2章 いのちが宝
第3章 インディアンの血
第4章 空母「蒼龍」艦橋
第5章 生きのこること
第6章 「ハマン」からの声
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
31
ミッドウェー海戦で生命を落とした戦士たちの関係者から人物を洗い出し、亡くなった人たちの様相を浮き上がらせている。 取り上げられているのは若干名であるが、日本だけで3000名以上の戦死者。2019/12/24
ASnowyHeron
13
丹念に犠牲者の様子を追い求め記録していくことの大切さを感じた。戦争は誰が望んだのか、なぜこんな悲劇が起きてしまったのかを改めて考えさせられる。それなのに戦争が無い世界にはならず、苦しみ続ける人が大勢いることにやりきれなさを感じる。2021/09/02
CTC
13
87年文春文庫、単行本は84年毎日新聞。現在は重版未定状態。澤地久枝54歳の頃の作品で、日本ノンフィクション賞、菊池寛賞を受賞している。澤地はこの作品で一航艦の戦闘詳報(「本日敵進出ノ算ナシ」などが削除される前の!)を読みこなし、“運命の5分間”の虚構を暴いたという(本人はそんなに強調していない、ひたすらに人々の死を悼んでいるだけだ)。本書には「日本の戦死者が3,057名であることを一人ずつ確認」した旨が記されていて(Wikipediaに現在記される戦死者数と一致している!)、確かにもの凄い読み物である。2020/08/02
後藤良平
0
数えきれない死と悲劇と不幸。430ページを読み終えて、震災復興伝承館のはしごをした後のような、脳の疲れを感じる。ミッドウェイの戦死者に関連して出てくる、沖縄の人々の戦場体験も強烈である。そして、唯一の公式記録とも言える「第一航空艦隊戦闘詳報」には数々の疑問があることになで触れているとは驚いた。結局作戦を進めた人たちの慢心とミスのせいでこれだけの悲劇が生まれた。しかし本にもあるように、例えこの海戦で日本が買っていたとしても、相手にもより多くの悲劇が生まれただけのこと。年間No.74 榴岡図書館2020/07/17
丰
0
Y-202007/06/10