出版社内容情報
タル家が食卓を囲むといつも空中分解。何でこうなるの? 家族だからこそ感じる複雑な思いや絆を鮮やかに描く。解説・桐野夏生
内容説明
「子供たちにはがっかりさせられてばかり…」「友達のところみたいな母さんだったらよかったのに…」「どうして弟ばかり皆に好かれるんだろう…」。家族だから分かりあえることもあるけれど、ため息つきたくなることだってある。ファミリードラマを書かせたらこの人の右に出る者はいない、と言わしめた著者の出世作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゅんさん
47
アン・タイラー初読み。とても家族を描くのが上手い。経験した事が無いことでもなぜかわかる気がするから不思議。"家族のことを読みたければこれを読めばいい!"と言い切ってしまえるほどの作品だと思う。私もエズラがお気に入りでした。コーディの人間的なところもいいけど、さすがにやる事がひどい。2021/07/21
白玉あずき
39
アン・タイラー、4作目。おそらくこれが彼女の代表作だろう。「家族」という理不尽と愛憎をかかせたら最高!読者の年齢によって登場人物の誰に感情移入するかが決まってくるのだが、今我が身と重ねて読んだのは、なんとパールだった。夫が出奔したあと、女手一つで3人の子を育てあげた見事な気丈さと、怒り、不安。母の感情の発散を受け止める子ども達の気持ちとか。それぞれの立場での描き分けが、しみじみ身につまされるのだった。読んだ傍から忘れてはいくのだが、読んでいる時には人の人生のやるせなさ、愛しさ哀しさに夢中になれる。2019/07/30
fonfon
22
アンタイラーほど中年女性の赤裸々な心情や、抱える問題~主に、家族の問題をみっちり描く人はいないと思います。どれもこれもおすすめです。友人が私がアンタイラー大好きだったことを覚えていてくれて、彼女の何十年かぶりのインタビューを紹介してくれ、本人が一番気に入ってる作品がこれということを知り再読。文庫はもう目が辛いので、アマゾンでハードカバー1円本を購入しなおしましたww今回も情が深くてやっかいな母親、というのにドキリ。初読した10年前と今との、自分自身の様変わりようにも唖然。。2013/08/17
Shimaneko
13
母と息子・娘それぞれの視点から淡々と描かれるタル家のファミリー・ヒストリー。桐野夏生の解説にあるように、「決して逃れられない人間関係」の閉塞感や、愛憎交じり合う情の密度に息苦しさすら覚えつつ読了。理屈じゃ分かってるつもりだけど、母親もかつては娘だったし、父親も誰かの息子だった事実を改めて思ってみたり。2017/07/02
みみずく
12
母パール、長男コーディ、次男エズラ、長女ジェニー。タル家の人々の物語。父ベックが突然出て行ったこと以外これといった事件が起こるわけではない家族の物語。それぞれの視点で語られるが、一番複雑な人物だったのはコーディ。早くから大人にならざるを得なかったことと不器用で穏やかなエズラに対する複雑な感情を持て余している様子が絶妙な筆致で表現されている。家族は気が合うばかりではなくともすれば近すぎてぶつかることも多い。それでも磁石のように引き合う人間関係が家族なんだなぁとしみじみ感じた。2014/04/27