出版社内容情報
地方検事の座に就いた直後に息子がレイプ犯で逮捕された。権力を行使すればもみ消しも簡単だが、法の公正を守る立場はどうなる?
内容説明
サンアントニオの地方検事の椅子に坐ったばかりのブラックウェルに、青天の霹靂のような事件が襲いかかった。息子のデイヴィッドが職場でレイプをはたらいたとして訴えられたのだ。職権を利用すればもみ消しもできようが、それでは世論が承知すまい。この事件には指一本ふれずに息子を救わねば…。それが地方検事のジレンマだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tsukasa_oishi
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お、おもしろいな。息子の裁判が終わったあたりからぐんぐんとおもしろくなる。そういう意味では、法廷でのやりとりを楽しむ小説ではない。裁判自体はすぐに終わるし。タイトルは特別検察官なのだけど、特に特別検察官が主人公なわけではない。陪審員制に対する懸念と批判と不確かさがよく伝わってくる。法はあっても、陪審員は法をもとに判断したりはしないという事実とその危険性にはすこし怖いものを感じる。それはともかく、楽しい作品だった。文学的とまではいかないが、家族のエピソードが小説としての価値をあげている。2004/05/21