出版社内容情報
狐狸庵先生遠藤周作の妻が、子が、そして友が綴った涙あり笑いありの追悼文集。読者とともに悩み、「愛」をえがいた作家の人と作品
内容説明
遠藤周作はどんな人だったのだろうか?―憎めない嘘をつき、邪気のない悪戯を楽しんだ人。明晰な頭脳の持ち主で、たゆみない努力家。体の弱い人に共感し、いたわり、慰め合いをした人。背いても母親のように赦してくれるやさしい愛を神に求め、文学に思想を運び込んだ作家…。妻や子、友が語るひとりの日本人の肖像。
目次
1 慈愛
2 友愛
3 信愛
4 恩愛
5 遺愛
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
37
遠藤周作の追悼記念であり、多くの友人や家族から寄せられたエッセイや対談で形作られている。海外でも評価の高い作家であったが「沈黙」は踏絵で棄教する神父の姿を描いている為、カトリック国では禁書になっている。その為か、ノーベル賞候補にありながら、受賞には至らなかったという。三浦朱門からの文章で、遠藤氏の宗教的背景を知ることもできた。宗教を意識しており、日本での布教を考慮されていたなど、本人の文章から読み取れないものを見た。2020/01/09
夢仙人
1
周作の違った面を楽しめる。2019/03/16
Kimitaka Imaizumi
0
妻子や三浦朱門、北杜夫ら友人の語りから、氏が、氏の描くキリスト像宜しく、人間の哀しさ、惨めさの同伴者たる人間であったことが窺える。 家庭の不和による自己の悲しさを、おどけることで誤魔化していたという幼少期は共感が持てた 氏の素晴らしさは誰もが持つ悲しさや苦しみへの共感性にある 共感し寄り添うことができる氏の様な人間になりたいと改めて思う。 2017/07/05
Sumiyuki
0
遠藤周作の追悼集。日常生活では関西弁で話されていたことは、意外だった。作中では、常に標準語だったから。だがよくよく思い返せば、灘中の劣等生だった著者が関西弁を話さない訳はない。著作を読むだけでは、著者のことは分からないのだなぁ。2014/03/09