内容説明
電車の中で痴漢扱いされた上場企業の役員は、無実を証明しようという第三者の申し出を断わる。その不可解な行動の背後には老境にかかった男の哀しい事情があった…。晩年を迎え、自らの人生を振り返る男たちの前にかつての出来事が時空を超え、謎となって甦る。軽妙な筆致で老いを描き切るミステリー十話。
著者等紹介
佐野洋[サノヨウ]
1928年、東京に生れる。’53年、東京大学心理学科卒。読売新聞社に入社。’59年、退社して作家活動に入る。’65年、「華麗なる醜聞」で日本推理作家協会賞受賞。’97年日本ミステリー文学大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
61
晩年を向かえ、自分の人生を振り返る男たちが、過去に見えていた事実と違う真相に気がつく10話の短編集。生き甲斐、介護、相続などの老いというものにテーマを当てている。ある日突然刑事が家を訪れ、殺人未遂の犯人が逮捕されて告げた名前や住所が、私だったら。ある日突然電車に乗っていたら、この人痴漢ですと手を捕まれたら。考えれば恐ろしい事だが、果たして起こらない言える程、遠い世界の事なのか。本作は淡々と読ませる文章、何処にでも居る身近な普通の人が、ある日一寸した事から犯罪を犯してしまう、そんな物語にやるせなくなります。2017/10/25
秀玉
2
佐野さんは短編ミステリーが主。何冊も読んだが思い出せないものも多い。これも痴漢の冤罪だが、壮年男性が見えない恐怖がどこに結末するのかが思い出せない。佐野さんものは再読ですね。探しますか。2021/08/06
さるきち
0
以前の切込みの鋭さは少なくなったかなと思われるが、文章の読みやすさとなめらかさは著者ならではのものがある。若干ストーリーに納得いかない面もあったが。男同士の関係から殺人にまでいたるか・・・?2014/11/29
トライ
0
読みやすくてつるつる読んだ。腹八分目という感じです。登場人物がみんな老人でした。2009/11/16
朱音
0
短編集。この本は登場人物が年配(ご老人)であるところが折鶴元刑事シリーズにもちょっと通じるところがあるかな。往年の迫力?はないけれど、読みやすさが健在なのはさすが。2008/02/02
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