出版社内容情報
自衛隊、アングラ劇場、ピンク映画、沖縄等の社会にあって、七〇年代を特徴づけるドロップアウトした若者たちの心情を、的確にとらえたみずみずしい未刊行作品集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
51
このころの沢木耕太郎はよい。自ら動いて取材し、書くという行為が 文体から伝わってくる気がする。2010/05/08
常磐条
33
高度経済成長の高揚の影に、世の歪みが軋みをあげる1970年代初頭。時代の闇から這い出ようとする人々を追い、文章はつづいていく。中でも、富士電機、新日鉄、東芝などに象徴される公害都市・川崎に集う労働者のルポは力強かった。僕たちはその後の歴史の行方を知ってはいるが、この本に切り取られた人生のワンシーンのその後に待ち受けていた景色を知ることはない。そして未だこの国は、彼ら無数の“名もなき者たち”の怨念に縛り続けられているのではないかと思ってしまう。そして僕自身はどこへ流れてゆくのかと……。2015/12/26
ポン
8
『防人のブルース』 最近、沢木さんが若い頃に書かれたものを読み返してます。沢木さんの取材に対する熱意と洞察を感じ、自分の毎日にもはりが出るような気がします。 2019/12/09
TCD NOK
7
沢木耕太郎といえば深夜特急。この本に影響され、休学してヨーロッパ、アフリカを放浪した友人もいた。そいつから、読むべきだとしきりに勧められ、自分も世界を放浪したいという気持ちはあったんだけど、踏み切れなく、そして深夜特急も手にとれなかった。読んでしまったら、友人への羨みと自分への後悔が溢れ出てしまいそうで。なので、沢木耕太郎の別の著書ということで買っていた本。生きにくさを感じながらも生きている人達のルポ。深夜特急を未だに読んでいないけど、読んだら後悔が更に加わることで生きにくくなるのかな。 2019/11/26
tora
7
全体に若書きという印象がいなめないルポルタージュ。しかしそれはそれで、現在との対比がおもしろくもある、「戦後」を色こく引きずった時代の記録なのだと思います。2013/06/10