出版社内容情報
急逝が惜しまれる純文学の雄・中上健次。全篇にみなぎる性とインモラルな描写で大きな反響を呼んだ問題の長篇小説、待望の文庫化
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
348
久しぶりの中上健次。これを読んでいると暗鬱な気持ちに捉えられる。それは、ここに描かれる性の背後に人間が宿命的に背負っている業の存在を意識させられるからだろうか。主人公のイーブは女(本文では白豚と表現される)も男(黒豚)も相手にするジゴロであり、彼自身もバイセクシュアルである。小説のとりわけ前半は、これでもかというくらいに性描写が続くが(いい加減に辟易してくる)、そこには普通の意味での愛はない。あるいは、その形が根底から違っているのかもしれないが。そして、彼らの行動からは不毛感ばかりが読後に残るのである。2022/09/02
背番号10@せばてん。
19
【1990_谷崎潤一郎賞_候補】1995年11月14日読了。あらすじは忘却の彼方。1995/11/14
nina
11
翼をもぎ取られた愛を知らない天使は路地から遠く離れたこの地で道標を失った。性の愉楽を司る選ばれし神として君臨し、戯れの愉楽の底に沈み隠された愛を求めて叫ぶ人々に、愛の代わりに己の躯を切り売りする日々。性の放逸を尽くして全てを手にしても、そしてまた、全てを失ったとしても、路地の高貴にして淀んだ血が混沌の中で誰よりも求めて止まないものこそ、路地を失った中上がほんとうに描きたかったものなのだろう。『日輪の翼』の続編。2014/12/07
saeta
9
1冊前に読んだ日輪の翼の続編。前半1/3はツヨシが高級ジゴロに成り変わり性のサイボーグと化したイーブの性描写の数々に辟易した。オカマバーでの会話のやり取りはその場で見てきた話をそのまま書いた気もする。大型トレーラーを再度買える程の金も溜まり、ジゴロ稼業に嫌気が差してきた頃に東京で生き別れになったオバ達を夏芙蓉薫る公園で見つけてから物語がようやく動き出したように思う。ラストはあたかもボニー&クライドの如く、チョン子とトレーラーに乗り込み物語はさらに続いて行く。作者が早逝し続編が立ち消えてしまったのが残念だ。2024/09/18
mstr_kk
5
中上健次の最良の作品ではまったくない。けれども、かけがえのない愛しい作品です。最初は露悪的な性の描写にうんざりしますが、トレーラーの影がチラつき、イーブの姿にあの若者の姿が重なるようになってくると、そのうんざり自体がこの作品のテーマと直結しているのだとわかります。僕が一番「好き」な中上作品『日輪の翼』の続編。ツヨシ!2024/10/22
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