出版社内容情報
冷凍トレーラーに乗って、若者と老婆たちは故郷熊野を出て、放浪の旅に出た──。爆笑、哄笑、エロティシズム満載の純文学長篇小説
内容説明
母なる土地熊野と訣別し、若者と老婆たちは冷凍トレーラーに乗って旅に出た―。高速道路を疾駆する車の中で老婆たちは御詠歌をとなえ、若者たちは旅の先々でひたする女あさりに励む。終着地は皇居前。彼らは何を探しもとめ、さまようのか?哄笑とエロティシズム、聖と俗を活き活きと描く“現代遍歴譚”。中上文学の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
恋愛爆弾
17
セックスの場面以外はぜんぶちょっとだけ面白いです。2023/03/12
ハチアカデミー
3
A 中上の言う「路地」とは部落のこと。そこでは世間の常識や道徳は通用しない。若者は性の快楽を求め、老人は聖なるものを求めさまよう。差別されて生きてきたという強い自覚を持ちながらも、それを悲観するのではなく、それぞれが逞しく生きている。現代のアジールともいえる「路地」が、本作では冷凍トレーラーとなって全国を駆け巡る。諏訪や恐山などの聖地を巡礼し、行き着いたのは皇居だった。「きれいはきたない、きたないはきれい」という世界観が見事に表現されている。推測だが、青山真治『ユリイカ』の着想は本作か? とかく傑作。2011/12/22
ほまれ
2
ダラダラ読んだ。 後半の書けてなさが興味深い2022/04/10
Cell 44
1
「路地」が全国を駆け回るというだけでもなんだかわくわくしてきませんか? ある事象が妙に暗示的、象徴的なのは中上健次の特徴ですが、この作品のラストほどそれが美しく表れているものもないでしょう。2011/02/23
hiratax
0
夏に新宮でトレーラーの演劇公演は見ていた。中上健次の著作は一通り読んだけれども、機会ごとに読み返してゆきたい。2016/09/14